long
□Honey Kiss
1ページ/4ページ
三成と共に城へと戻り、ここで私の初日の任務は終了となった。
与えられた自室に入り、暗い室に火を灯す。
「今日は色々な事があったなぁ……」
三成から贈られた簪を懐から取り出し、眺めてみた。
簡素にありながら見れば見る程、細部には凝った装飾が施されていて高価なものである事が判る。
「どうしてこれを下さったんだろう?」
私に対する詫びなのだろうか?
ねねに説教を受け一人で外出し、どんな顔でこれを選んでいたのだろうか?
しかしどんな理由があるにせよ、この簪が贈られた事により三成には認めて貰えたのだ。
護衛の任務を任された、三成との縁を繋いでくれたこの簪は主・三成との絆の様に感じた。
「三成様って、不愛想だけど……」
ただ不器用なだけかもしれない。
そう思ったら可愛く思えてきて笑みがこぼれた。
「明日からも頑張ろう。」
簪を眺めながら気合を入れ直すのだった。