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□Honey Kiss
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後ろから声を掛けられなかった事に安堵した。
どうやら私の隠したかったモノは見られなかったらしい。
脱衣所を出て自室へ向かう途中、忍びのものと思われる鋭い視線を感じた。
この視線は明らかに三成へ向けられているものではなく、私に向けられているものだ。
忍びの目的を探るべく、自身も忍装束を着ようと自室へ急ぐ私の前に再びあの先輩女中が現れる。
「こんばんは、陽月さん。」
「……何かご用でしょうか?私、急いでいますので。」
もう自室は目前の所で声を掛けられる。
「そんなに警戒しないで。今日は何も盗らないわよ。」
女中はクスクスと笑う。
「……明日も早いので、私は休ませてもらいますね。」
無視をして横を通り、自室の襖を開けると女中に室内へと押し込まれた。