彼女の映すセカイ【DB超】
□遠目から見る彼は
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灰色の厚い雲に覆われた空に浮かんでいる人影がある。
黒の道着を着た男。
この光景を蔑むように見下ろしている。
ゴクウブラック
通称ブラック、そう呼ばれている。
ドォォォォン!!
突然、爆発と共に、地面が激しく揺れた。
ブラック、そう呼ばれている彼が攻撃したのだ。
辺りは一層、炎が激しく燃え盛る。
刹那。
誰かが一際大きい悲鳴を上げた。
「う、上...!」
震えた声でその方向を指さした。
その人の指差す方向を見る。
そこには、先程の衝撃により、崩れたビルの上部がこちらへ真っ逆さまへ落ちてきていた。
周りの人達は、慌てて逃げ出すが、恐らく無駄だろう。
間に合わない。
嗚呼...死ぬな......
そう直感で感じた。
落ちてくるビルがスローモーションのように見えた。
私は、薄れゆく意識に従うように目を閉じた。
最後に見えたのは、灰色の空に浮かぶ黒い彼と彼が現れる前から、何一つ変わっていないセカイの色だった。
(死ぬ時さえ、私のセカイの色は灰色だ)