短編
□プレゼント:霊幻 新隆etc
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今日は霊幻さんが私にプレゼントをくれるみたい。
目の前に出されたのは綺麗にラッピングされた箱。
「本当にもらっちゃっていいんですか?」
「おう、ていうかぜひとも貰ってくれ」
私はワクワクしながら包みを開けた。
なんだろうなぁ…おや、洋服かな?
私は箱の中から黒い服を取り出し鏡の前で合わせてみた。
黒のワンピースに白いフリフリのエプロン。
箱の中にはまだ、カチューシャと靴下か入っていた。
「まさかこれって…メイド服、ですか?」
私は苦笑いをしながら霊幻さんをみると、彼は顎に手を当てて満足げな表情をしていた。
「そうだ、##NAME1##に似合うと思ってな。折角だからそれを着て働いてくれ」
「い、いやですよ!こんな恥ずかしい格好を人に見られるなんて…!」
珍しくプレゼントをくれるなんて、おかしいと思った!
私は服を畳んで箱に戻した。
「恥ずかしい…だと?メイドとは主人を愛し、尽くし、敬うというとても素晴らしい職業なのだよ?君の仕事はお客様を愛し、尽くし、そして敬う…まさにメイドと同じじゃないか!」
霊幻さんがビシッと私に指差しながら言った。
「そうかなぁ…でも私の仕事ってお茶出しとか会計とか、そういう事務的なものなのでは…」
「まさに、メイドの仕事じゃないか」
そうなのか…なんかうまく丸め込まれた気がするけど…
「じゃあ…一日だけ試しに、ですよ?」
諦めたように呟くと、霊幻さんがよっしゃあ!とすごく喜んでいた。
この人、ただ見たかっただけじゃないのかな…
「まあ、単に俺が見たかっただけだけどな!」
「やっぱり!」
私はふぅ…とため息をついて、霊幻さんの死角になる位置で着替え始めた。
「き、着替えました」
霊幻さんが振り向くと、なにやら雄叫びのようなものをあげながら近づいてきた。
「おおっ!やっぱりよく似合ってるな!俺の目に狂いはなかったようだ」
指でカメラの形を作り大はしゃぎしている霊幻さん。
そんなに喜んでくれるなら…着て良かったかな?
そう思い照れつつ喜んでいると、なにやら聞き覚えのある声が近づいてきた。
ガチャ
「こんにちはー…」
「美香さんこんにちは…」
影山兄弟がやってきた。
「えっと…可愛いね」
「め…メイド服…」
二人は足を止め、顔を赤らめながら呟いた。
私は途端に恥ずかしくなり、急いで霊幻さんの後ろに隠れた。
「れ、霊幻さん!この二人が来るなんて聞いてませんよ!!」
霊幻さんはニヤッと笑って
「だって言ってないから」
そう言って霊幻さんは私を引っ張り出し、逃げられないように肩をがっしり掴んだ。ていうか掴まれた。
「こんなかわいいメイドさん、みんなに見てもらわなきゃなぁ…」
私は恥ずかしさに耐えるように俯いた。
茂夫と律は、そんな私に近づいておおっと声を上げた。
「すごい、似合ってますよ##NAME1##さん」
茂夫がニコニコと笑いながら褒めてくれた。
「あ、ありがとう…」
「ちょっと丈が短すぎる気もしますね…でもほんとによく似合ってます」
律がこんなに褒めてくれるなんて珍しいな…と思いながらも、褒められて悪い気はしないので私は少し元気になった。
「みんなありがとう。嬉しいな…」
えへへ…と笑うと、三人の顔が赤くなったのがわかった。
「おお…いいな」
「いいですね」
「最高です」
三人が口々に褒めてくれるもんだから、なんだか居づらいなぁ…
そこで、あっと二人が来たばかりというのを思い出した。
「二人とも喉乾いてない?飲み物用意するね!」
「そんな、僕がやりますよ」
「立ちっぱなしは疲れるでしょう?どうぞ座ってて下さい」
「##NAME1##こそ、腹とか減ってないか?俺なんか買ってくるわ!」
律に座っててと急かされたのでしぶしぶ座ると、三人はせわしなく動いていた。
あれ、メイドさんってもてなす側じゃなかったっけ…?
私は不思議に思いながらも、三人から手厚いもてなしをされたのだった…
end
あんな可愛い子に働かせるわけにはいかないだろ…お客の前に出すのは無しだな
お茶が洋服にかかったら危ないもんね…僕が淹れなきゃ
可愛い…ずっと僕の隣で笑っててほしい…