狩人は奇術師と共に
□狩人は奇術師と共に 第2章
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「女のところにでも入り浸っていたか?」
呼び出したにも関わらず本を読み耽っていたクロロが、手に持った本を閉じて鼻で笑う。
「さっきの電話で、微かに女の声が聞こえたんでな。図星か?」
面倒な相手に知られたな、とため息をつきたくなるのを抑え、ヒソカはクロロに視線を向けた。
「わかっているなら、わざわざ呼び出さないでくれるかい?今本当に忙しいんだからさ…♠」
「お前がそこまで惚れ込む女というのは珍しいな。今度紹介しろ、どんな物好きか見てみたい。」
どんどん面倒になっていく展開に、ヒソカは隠すのをやめて堂々とため息をついた。
「あなたに紹介したら最高に面倒臭くなる予感がするんだけど♠」
「良いだろう、別に手を出そうというわけじゃないんだ。団長命令だ、その女を今度連れて来い。」
「だからこんなことで団長命令使わないでくれよ、振り回される方は堪ったもんじゃないんだから♠」
その言葉には同感だったらしく、マチ、シャルナーク、パクノダが一斉に頷いた。
「お前らな……」
「ところで、用事の方は良いの?」
この中で唯一の良心と言ってもいいだろうパクノダが、珍しく助け舟を出してくれた。
「良くないね♣すぐにでも帰りたいんだけど?」
「…まぁ良い。勝手に行方を眩ますな、最低限連絡は取れるようにしておけ。今日はそれだけだ。」
たったそれだけを告げるために呼び出されたらしい。
それなら電話でも良いだろうに。
「…帰らせてもらうよ♠」
ヒソカはすぐさま部屋を飛び出し、帰路を急いだ。
「…すごい入れ込み様ね。随分、その女の子が大事みたい。」
「ヒソカにそこまで好かれるなんて、その女も気の毒だよ。」
「いやいや、案外似た者同士なのかもよ?お互いベタ惚れだったりして。」
「何にせよ、次会ってみればわかることだ。」
ヒソカが帰った後の彼らは、何やら下世話な話を好き勝手していたらしいが、それはヒソカの知るところではない。