狩人は奇術師と共に
□狩人は奇術師と共に 第1章
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その日の夜のこと。
ヒソカが持つ電話が鳴った。
「ちょっとゴメンよ♦…やぁ、久し振りだね♥……ちょっと色々あってね、連絡が取れない場所から帰ってきたばかりなんだよ♠……これから?それはちょっと無理かなぁ…♣とっても大事な用事があるんだ♦……こんなことでソレ出さないで欲しいな、用事があるのは本当なんだから♠」
電話とは、遠くに居る相手と通信出来る物だと聞いている。
レインも携帯電話をヒソカに渡されているのだが、如何せん使い方がわからず熱に浮かされた頭では説明が理解出来るはずもない。
そのため部屋の置物になっている。
どうやらヒソカは、電話の相手と揉めているらしい。
大事な用事とは、おそらく看病のことだろう。
そう考えると、非常に申し訳ない気分になってくる。
「……ヒソカ。行って来い…私なら大丈夫だ。」
自分のことで、ヒソカの行動を縛りたくはない。
一応少し歩くくらいは出来るようになったし、ヒソカが少しくらい居なくても問題はないだろう。
「……どこに行けば良いんだい?ボク今ヨークシンなんだけど…♣……OK、そこなら1時間くらいあれば着ける♠けどすぐに帰るからね、本当に今忙しいんだからさ♠」
ヒソカが不機嫌そうに電話を切る。
どう見ても、行きたくないという顔だ。
「…ゴメンよ、レイン♠少しだけ留守にするけど、すぐに帰ってくるから…休んでいておくれ♣」
「大丈夫だよ、ヒソカが帰ってくるまで寝て待ってる…」
軽く口角を上げて笑うと、ヒソカも苦笑して頬に口付けを落としてきた。
「行ってくるよ、レイン…♥」
そうしてヒソカは出かけて行った。
レインもそのまま目を閉じ、体を休めるべく眠りに就いた。