狩るか狩られるか
□狩るか狩られるか〜第9狩り〜
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センパイ、という言い方がどうにも気に入らず、ツッコミを入れると同時に走り出す。
グラビモスが気配に気付いて振り返るがレインは既にそこには居ない。
グラビモスの上空に彼女は跳んでいた。
腕には斧モードにしたチャージアックスが握られており、それをグラビモスの背中目がけて全力を込めて振り下ろす。
ミシミシ、と音がしてグラビモスの外殻に小さな亀裂が入った。
深追いせずにすぐさまグラビモスの上から跳び退くと、地面に跳び下りて盾を構えた。
グラビモスの咆哮が響き渡り、盾にもビリビリと衝撃が伝わる。
衝撃を振り払うように盾を振ると、レインは再度上空へと跳んだ。
狙うは先ほどと同じ場所、グラビモスの背中である。
今度は剣による一太刀を喰らわせ、亀裂を深くする。
続けざまに剣撃を叩き込むと、グラビモスはその巨体を大きく振り回してレインを振り落とそうとした。
足で踏ん張って落ちないように耐える。
暫く暴れた後グラビモスが動きを止めた瞬間を狙い、再度背中を斬り刻む。
バキッ、という音とともに背部の外殻が崩れ、グラビモスはその場に倒れ込んだ。
レインもそれに合わせて落下するが、受身を取ることによってすぐに体勢を立て直した。
次に狙うのは弱点である胸部だ。
胸の外殻を壊してしまえばこっちのモノ。
再び斧モードに切り替えたチャージアックスで溜めの一撃をグラビモスの胸部に叩き込む。
古龍でも容易く斬り刻むことが出来るレインの力にかかれば、幾ら硬いとはいえただの飛龍であるグラビモスなど赤子の手を捻るよりも簡単なのだ。
グラビモスの胸部はあっさり砕け、腹まで大きくひび割れて赤く染まっていた。
立ちあがったグラビモスの真下から、斧を振り上げて顎を狙い打つ。
上向きに仰け反ったところで、さらに胸部に斧を叩き込む。
さらに回転させるように一撃。
グラリと体勢を崩したグラビモスの足を斧で払い飛ばせば、再び地面に転がっていく。
今回は素材が欲しいので、必要以上に他の部位を攻撃はせずにただ胸腹部の一点だけに集中攻撃を加えていった。
5分もしない内にその巨体は生命維持が出来ないほどになり、ただの肉と岩の塊と化してしまった。