狩るか狩られるか
□狩るか狩られるか〜第7狩り〜
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次の瞬間、見えたのは大きな竜巻だった。
それはまっすぐレインに向かっている。
危ないかと思われたそれすらも、レインはいとも簡単に盾で防いで見せた。
「(あの大きな竜巻すらも防げるのか…レイン、キミは本当にすごい…♥筋肉はそれなりについていたけれど、女の細腕であれを受け止めきるなんてね…並大抵じゃ無理なことを、キミは平気でやって魅せるんだね……あぁ、イイ…!キミは最高だ…!!)」
気配を絶ったまま恍惚とした表情を浮かべて身悶えていると、クシャルダオラが高く飛び上がったのが見えた。
天候がさらに悪化していく。
既に視界は全くない。
気配を探ることでそれぞれの位置を知ることは出来るが、何をしているのか、どういう状況なのかはわからない。
「…つまらないの♠これじゃ、キミの姿が見えないじゃないか…折角イイところだったのになぁ…♠」
レインの熱い殺気を身に感じながらも、ヒソカは見ることが出来ないソレに一気に萎えていった。
ホットドリンクの効果が切れたのか、冷たい吹雪が体を冷やす感覚で頭もクリアになる。
とりあえず凍えないようにと、効果が切れたら飲めと念を押されていたホットドリンクを口にする。
飲むとすぐに体が温まっていく。
これだけの猛吹雪の中でも生身で居られるのだから、この世界の薬は本当にすごい。
ヒソカが静かに感嘆していると、聞こえてきた咆哮。
先ほどまでの吹雪が嘘のように収まって、目に映ったのは既に虫の息となったクシャルダオラと、殺気で目をギラギラさせているレインの姿だった。
「(吹雪が止んだ…もうすぐ決着だろうね♦……!)レイン…?」
瀕死状態のクシャルダオラが放った氷のブレス。
それがレインの利き腕である左腕を剣ごと凍りつかせていた。
目を見開き、彼女の名を呟く。
あれだけの動きをしていたレインが、あの攻撃を避けられないとは思わなかった。
攻撃の手も止む。
その隙に逃げ出そうとしているクシャルダオラを捕まえようと、"絶"を解きオーラを練る。
が、しかしそれは無用の長物だったらしい。
雪まみれの大地を駆け抜け、跳んだレインの到達した先には逃げに入ったクシャルダオラの姿。
レインが右腕の盾を振り被り、クシャルダオラの脳天にそれをぶち込む。
短く呻いた後、クシャルダオラは倒れてその動きを止めた。
「…もうおしまいか。確かにでかかったけど、この程度ならもっと強い奴居るっつの。あぁ、けど…この一撃は良かったよ、来世はもっと強く生まれて来いや。」
ようやく口を開いた彼女の言葉は物足りなさと、期待が入り混じったような複雑な声色をしていた。