狩るか狩られるか

□狩るか狩られるか〜第7狩り〜
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「レイン、お疲れ様♥」

あれだけ動き回っていても、疲れ一つ見せないレインの傍に歩み寄る。

左腕は未だ凍りついたままだ。

あのままでは、確実に凍傷になるだろう。

レインの薬の前では大したことないのかもしれないが。

「ヒソカ。最後、手ぇ出そうとしたろ。連れてきたんだから約束守れよ。」

"絶"を途中で解いて攻撃しようとしたこともバレていたらしい。

流石と言わざるを得ないが、ヒソカは一つ解せなかった疑問を遠回しに口にした。

「ボクも手を出すつもりはなかったんだけどね♠キミのその腕を見たら、このまま逃がしてしまうんじゃないかと思ってさ…捕まえてあげようと思ったんだ♦最終的に何もしなかったんだし、大目に見てくれないかい?」

言外に告げる、"何故避けなかったのか"と。

「…悪かったな、間抜けで。ちょっとばかり、愉しみ過ぎた。たまにあるんだよ、こういうの。夢中になって、避けるより攻撃優先しちまうこと。」

罰が悪そうに言ったレイン。

どうやら彼女のアレは一種の癖らしい。

ヒソカ自身も敢えて避けないことがあるので、ヒトのことは言えないのだが。

「それで死ぬこともあるような仕事なんだろう?いくら薬で治せると言っても、まさか死んだ肉体が蘇るなんてことはないだろうし…♠ちゃんと避けなよ、実力は十分あるんだからさ…♣」

「……気を付ける。ヒソカの言う通り、流石に死んだ奴は治せないしな。」

案外素直なレインの言葉に毒気を抜かれ、自然とため息が漏れた。

その間にレインはポーチからホットドリンクを出して飲み、さらに別の薄水色の薬を取り出して凍り付いた左腕に振りかけていた。

パリン、と音を立てて氷が取れていく。

同時に剣もレインの手から滑り落ちた。

レインは右手でそれを拾い上げ、盾と一緒に背負う。

まだ左手は使いモノにならないらしい。

「あれだけボロボロにしたら、ろくに素材使えないな。失敗した。」

残念そうに言う彼女の視線の先には、先ほど倒したクシャルダオラの死体。

ボロボロにしすぎて剥ぎ取ることが出来る素材がほとんどないのだろう。

落胆した様子のレインを見ていたくなくて、

ヒソカは声をかけた。

「なら、次また狩ればいい♦キミの動きを見て立ち回り方は理解した、次はボクも一緒にヤる♥」

「……期待しないで待ってるよ。」

暫し目を見開いたレインから返ってきたのは、どこか照れくさそうな笑顔だった。


〜Side ヒソカ END〜
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