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□叶わぬ願い
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愛して欲しい

その瞳に、俺だけを映して欲しい。

笑いかけて欲しい

優しい微笑みを、俺だけに向けて欲しい。

キスして欲しい

何もかも忘れちゃうくらいの激しいキスをして欲しい。

抱きしめて欲しい。

優しく、だけど強く、抱きしめて欲しい。

撫でて欲しい。

普段自販機を持ち上げてるとは思えないほどの優しい手つきで、撫でて欲しい。

その笑顔を独占したい。

その声を独占したい。

その身体を独占したい。

全部全部、俺のものにしたいのに、叶わない

今更、もう遅いんだよ

いくら願っても泣いても、君の心が俺に向くことはないのだから

足掻くだけ無駄、悲しむだけ無駄、なにしたってすべて泡になる

幻想ばっか夢見て喜んだって、その次に飛び込んでくるのはどうしようもない現実だろう?

ねぇ?シズちゃん。

俺はこんなにも君を愛してるのに、君は何も言わない

それどころか冷たい殺気を放って、いつもその力を振るう。

俺ならその力も愛してあげられるのにね。

シズちゃんはいつも俺を拒むんだ

俺がこんなにも愛してるのに君は俺の愛情をいとも容易く引き裂いて、なかったことにする。

どうして?そんな悲しいこと、しないでよ

そんなことされたら、誰だって傷つくだろう?

もう疲れたんだよ、ねぇ。

こんな風にバカみたいに君を望んで。

「もしかしたら」に縋る自分が馬鹿みたいで愚かしくて。

情けないよね、ここ最近夜はずっと泣いてるよ。

もういいかな

君に愛されない身体なら、要らないよね

君に愛されない俺なら、要らないからさ

狂おしいこの愛情も、もう疲れたんだ

だからさ

バイバイ、シズちゃん

白い肌に、紅い華が咲いた。

遠ざかる意識の中、君を想う。

「臨也」

聴こえた幻聴に笑って。

さぁ、長い夢を見よう。



end
 

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