[天は赤い河のほとり]〜ラムセスの花嫁〜
□偶然の出合い
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駄目だ、息が続かない何とかもがき上を見上げると微かな光が見えた、名無しさんは夕梨の体を押上浮上させると、そこで意識が途絶えてしまった。
声が聞こえる
誰の声?夕梨は無事かしら・・
名無しさんはぼやけた世界の中息を吹き返すと飲んでしまった水を吐き出すよう咳き込む、その時両手が動かない事に気が付き目を見開いた時だった
『そなたは何者だ?』
『!?』
何処だか分からない、でも目の前のこの女の目は好意的とは言えないもので、名無しさんはその鋭い眼差しに言葉を失っていたが、夕梨の事が気になり
『夕梨は何処ですか!?』
『夕梨?・・連れてきた娘ならば時期に捕まる。それよりもそなたの素性を聞いておろう。』
『・・私は夕梨の姉です。』
『姉?そうか、ではそなたがもう一つの予言の娘であったか』
『何を言って』
女は名無しさんの顎を掴み上げ顔を近づけると品定めをするよう見つめてくる、その手はまるで氷のように冷たく体が震える
『磨けば輝く素質はあるな、良いだろうそなたはわたしの元に置いてやる、妹を生け贄とする瞬間を見届けるが良い』
『生け贄ですって?』
何を言っているのか理解出来なかった、この女は何をしようとしているの?名無しさんは恐怖を抱きながらも夕梨の無事を祈っていた。