[天は赤い河のほとり]〜ラムセスの花嫁〜

□偶然の出合い
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『夕梨、どうかしたの?』
『ううん、何でもない!』


昨日から妹の様子がおかしい、何かに怯えているように周囲を気にしている。
名無しさんは気になるといてもたってもいられず、高校の終わりのチャイムを聞くなり教室を飛び出した。
目的地は夕梨の通う中学、幸い学校は遠くないので走ればすぐにつく、校門まであと少しの距離で夕梨が帰る姿が目にとまると後ろからこっそりと後を付ける、すると男の子が夕梨に話し掛けた、おそらく彼が夕梨の恋人だろう、後を付けるのは少々気が引けたが夕梨の安全を確認する事が先決である、デートで映画館に向かい上映が終わるまでの間、降りやまない雪を眺めながら悴む手に息を吹き掛けていると夕梨が彼と出てきた、再び気付かれないよう尾行していた時だった、有り得ない光景に目を疑った、夕梨の足下の水溜まりから手が延びたのだ名無しさんは考えるより先に夕梨に駆け寄り抱き締めたが二人一緒に引きずり込まれてしまった。


『・・ッ』
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