フェイトエピソード
□クリスマスだね☆
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今日はクリスマス。
彼女と待ち合わせをしているのだが、約束の時間を過ぎても来る気配がない。
たまにあることなのでそこまで気にしてはいないが、……さすがに寒いな。
あれこれ今日のことを考えてると、ふいに視界が遮られた。
?「だーれだ?」
後ろから声がする。
どうやら姫のご登場のようだ。
さて、遅れてきた悪い子には……
『え?誰?全然わかんない』
?「ほんとに?うちだよ、うーち!」
『うーん……。うちっていう知り合いはいないんだけど……』
?「……そっか。ユウキはもううちのことが好きじゃないんだね。だからわかんないんだ」
ごめん、という声と同時に目から手が離れる。
さらにすすり泣きが聞こえてくるもんだから、俺は慌てて振り返った。
『ご、ごめん!そんなつもりじゃなかったんだ!俺は……ん?』
あれ?まさか……
クラリス「ふっふーん!
美少女錬金術師のクラリスちゃんでした!うそ泣きだよ☆ びっくりした?」
しまった、やられた……
『はぁ…、まじで焦った……。とりあえずうそで良かったよ』
クラリス「いやー、ごめんごめん。
あ、ユウキ見て見てー!今日のために新しく買ったんだよ!どうどう?クラリスちゃん最カワ?」
と、目の前で決めのポーズをとる彼女。
うん、かわいい。
とにかくかわいい。
ほんとクラリスは何着てても似合うと思うけど、今日の格好は一段といい。
そして、今日のために、っていう響きがまたいい。
クラリス「……おーい、ユウキー?どしたの?」
『…っと、ごめんごめん。いやなに。あまりにもクラリスがかわいすぎてつい見とれてしまってね』
クラリス「…っ!もう、ユウキってば……!
へへ、でもやっぱ、ユウキに言われるとなんか照れる」
そう言って、ほんのり顔を赤く染める彼女。
実にウブでかわいらしい反応だ。
俺はそんな彼女に満足しつつ、今度は俺が彼女を満足させる番だと思った。
『さてと、じゃあ行くか』
クラリス「うん!出発だね☆」
そうして俺達は歩き始める。
行く、といっても、特に目的地はない。
ただ街中をぶらぶらするだけだ。
でも、そんなゆるやかな時間が楽しかったりもするのだ。