フェイトエピソード
□サプライズ
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今日は11月22日。
俗にいう、いい夫婦の日だ。
さらにいうと、いつまでもいい夫婦でいよう、と思いを込めて去年のこの日に結婚した私達――私とヴェインの結婚記念日でもある。
?「そろそろかな?じゃあ引き上げて、中身を見てみましょ」
『はい!』
隣にいる女性にそう言われて、私は網を引き上げて、からあげをクッキングペーパーを敷いた皿の上に乗せる。
そして少し冷ましてから一つとって包丁で半分に切る。
?「……うん、ちゃんと出来てる!上達したわね!」
『ありがとうございます、エミリさん!』
彼女はエミリさん。
私の近所に住んでいる主婦友である。
普段料理をヴェインに任せっきりな私は、サプライズで作ってあげたい、ということで数日前からエミリさんに教えてもらってる。
エミリ「それじゃあ、あとは本番ね。おつかれさま」
『はい!ありがとうございました!』
エミリ「ちょうどお昼だし、これ食べて食材の買い出しに行きましょ」
夕方――
ヴェイン「たっただいまー!」
『お帰りなさい。今日もおつかれさま』
ヴェイン「おう!んじゃ、ちょっと待ってろ。今晩御飯作るから」
『あ、待って!ヴェインは先に手を洗って座ってて』
そう言い残して台所に引っ込む。
そして、からあげ、サラダ、お味噌汁、ごはんを順に居間に持っていく。
ヴェイン「うわー、うまそー!これヒサコが作ったのか?」
『うん。エミリさんに教えてもらったの。いつもはヴェインに任せっきりだから今日くらいは、って。だって今日は……』
ヴェイン「いい夫婦の日で、俺達の結婚記念日、だろ?」
『ヴェイン!覚えててくれてたんだ!』
ヴェイン「あたりまえだろ?んな大事な日、忘れるわけないじゃん!」
『そっか…、そうだよね!えへへ』
ヴェイン「なあなあ、食べていいか?」
『うん、めしあがれ』
ヴェイン「んじゃ、いっただっきまーす!……ん!うまい!めちゃくちゃうめーよ、ヒサコ!」
『そんな大袈裟な』
ヴェイン「いやいや、まじでうめーってこれ!俺がうそつけるやつに見えるか?」
『うーん、見えないかな』
ヴェイン「だろ?まじでありがとな、ヒサコ」
『いえいえ、こちらこそいつもありがとう』
喜んでくれて良かった。
大袈裟だなぁって思うけど、そんなところに惹かれたんだっけ……なんて。
『でも、やっぱりヴェインが作ってくれたもののほうがおいしいな』
ヴェイン「そうかなぁ?んじゃ、今度一緒に作ろうぜ!俺が教えてやるよ」
『やったぁ!よろしくお願いします、ヴェイン先生!』
ヴェイン「おう、まかしとけ!」
そうして、二人で笑いながら和やかな晩御飯の時間は過ぎていった。