フェイトエピソード

□家臣にしてください!
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ある日、城の中を歩いていたところ……

『パーシヴァル様!家臣にしてください!』

見知らぬ女に声をかけられた。



彼女の名はヒサコ。
なんでも昔魔物に襲われたところを俺が助けたらしい。
だが、そんなことはいちいち覚えていない。
それに、俺は自分が認めたやつしか家臣にはしない。
そう言えば、ヒサコは『ですよね』と言って去っていった。

それからのこと。
ヒサコはたびたび俺に話しかけてくるようになった。
任務の内容や訓練の仕方が主だったが、話の最後にはいつも、
『早く家臣にしていただけるように精進します』だった。

まぁ、その根性は認めるが、正直うっとうしい。
俺とヒサコの関係は、騎士団の間で有名になっていて、ランスロットやジークフリートにからかわれるのだ。
俺はいつも適当な返事をしてやり過ごしていた。



それなのに―――
最近あいつを見ない。
最後にヒサコが来てからもう二週間たつ。
ようやく諦めたかと思った。

だが、それから少したった頃、俺はふとした瞬間にヒサコのことを考えている自分に気づいた。
おかしい。
あんなにうっとうしいと思っていたはずなのに。
きっと俺は副団長として急に消えた団員のことを気にかけているんだ……
そう思うことにした。



あいつを見なくなって一ヶ月がたった頃だろうか。
ランスロットが慌てた様子でその少し懐かしい名前を口にした。

ランスロット「パーシヴァル!大変だ!ヒサコが……!」



(ヒサコが魔物に襲われて……今、医務室に……)

その言葉を聞くやいな、俺は駆け出した。
ランスロットの制止の声も聞かずに……



医務室の前で一旦息を整え、静かに扉を開ける。

看護師「あ、パーシヴァルさん!」

パーシヴァル「ヒサコは?」

看護師「こちらです」

看護師に着いて行くとベッドで寝ているヒサコがいた。

看護師「命に別状はありませんが、いつ目を覚ますかは……」

パーシヴァル「そうか…。感謝する」

看護師「いえ…。ではごゆっくり……」

そういうと看護師はその場を離れた。

俺はとりあえず側にあった椅子に腰かけることにした。

目を覚まさないヒサコをじっと見つめる。

ちっ、姿を見せないと思ったらこんな格好で帰ってきやがって……

俺はだんだんイライラしてきた。



ジークフリート「今日で五日目か……」

ランスロット「パーシヴァルのやつ、あれから医務室に通いつめてるそうです。
なんでも、ヒサコが目を覚ましたら一番に文句を言ってやるとかで……」

ジークフリート「ふっ、相変わらず素直じゃないやつだな」

ランスロット「ええ……」
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