フェイトエピソード
□後悔のち晴れ
2ページ/3ページ
『リーシャ、また君に会えて、またこうして二人で出かけられるなんて思ってもみなかったよ』
リ-シャ「そうですね。……ここが、ユウキの配属された島だったのですね」
『ああ……』
『リーシャ、話があるんだ。今度とある小さな島に配属されることになって……。だから……別れよう。君を一人にはできない……』
『……』
リ-シャ「……ユウキ?」
『あ、悪い……。っと、いい時間だよな。リーシャはもうお昼は済んだのか?』
リ-シャ「いえ、まだです」
『なら一緒に食べよう!おすすめの店を紹介するよ』
ユウキに連れられ小さな店にたどり着く。
しかし、そこには卑しき先客がいた。
ならず者1「だーかーらー、料理に髪の毛が入ってたって言ってんだろ?」
ならず者2「俺達はそんな汚ねぇもん食わされたんだ!どーしてくれんだよ!」
ならず者3「もちろんタダにしてくれるよな?さらに詫びで金まで出してくれるよな?」
店主「そ、そんな……!困ります!だ、第一うちに赤髪の店員は……」
ならず者3「ああんっ!?」
店主「ひぃぃ……!」
野蛮な男三人が店主にクレームをつけてお金を巻き上げようとしているようだ。
ユウキは、はぁ……、っとため息をこぼす。
『……リーシャ艇団長』
リ-シャ「元、です。行きましょう」
リーシャのかけ声で二人は男達の前に歩み寄る。
リ-シャ「あなたたち!ここで何をしているのですか!」
ならず者1「あん?なんだてめぇら!」
ならず者「こいつが料理に髪の毛を入れやがったんだ!俺達になんか文句あんのかコラ!」
『ここには赤髪の店員はいないって言われてんだろ?赤髪はあんたしかいないんだよ』
ならず者2「俺に言いがかりをつけようってのか!?くそっ、ふざけんじゃねーぞコラ!」
リ-シャ「もはや話し合いは無意味のようですね。全員外へ出てください。そこで決着をつけましょう」
ならず者1「はっ、いいぜ。返り討ちにしてやるよ」
五人は外に出て、リーシャとユウキは剣を、ヒューマンの男二人は短剣を構える。
ドラフの男は素手のようだ。
最初に動いたのはヒューマンの男二人だ。
リーシャとユウキはそれぞれに向けられた剣を自身の剣で受け止める。
その隙にドラフの男が背後からユウキに襲いかかる。
ならず者2「へっ、もらった!」
ドラフの男のこぶしが当たる直前、ユウキはしゃがみこみ、さっと横にずれる。
勢いののったこぶしは急には止まれずそのまま……
ならず者3「ぐへっ!?」
ヒューマンの男に直撃する。
その様子を横目でちらりと確認したリーシャは一歩後ろに飛び退いてから、すっと剣を払う。
カキーン……カラン………
剣の離れた手を見つめ唖然としている男の隙をつき、さっと回り込んで背負い投げを決める。
ならず者1「うぐっ!」
そのまま男を押え込み、ふぅ、と一息つくリーシャ。
横を見るとユウキも二人の確保を完了させているようだ。
?「いやー、すごいな、お二人さん。我々の手間が省けてしまったようだ」
ふいに聞こえた上からの声に、しゃがんでたリーシャは顔をあげる。
リ-シャ「あなたたちは……この街の自警団の方々ですか?」
自警団「ああ、ご協力感謝します。あとは我々にお任せください」
戦っている最中に店主が呼んでいた自警団の人達に野蛮な男達を引き渡し、二人はようやく食事にありつく。
ユウキのおすすめとだけあって、とてもおいしかった。