フェイトエピソード

□家臣にしてください!
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『パーシヴァル様!?』

ようやく目を覚ましたヒサコは、チラチラと辺りを見回した後、
驚いた声で、そして不思議そうな顔をして俺の名を口にし、バッと起きあがった。

パーシヴァル「やっと起きたか。ずいぶんと遅い起床だな」

『?…えっと……どのくらい経ってますか?』

パーシヴァル「五日だな」

『五日!?…そ、そんなに……』

パーシヴァル「はあ……。事情は聞いた。
だが、助けるにしてももっと他に方法はあったはずだ。
なぜあんな真似をした?」

『す、すみません……。
その、体が勝手にというか……気づいたらああなっていたというか……』

その言葉を聞いた瞬間、何かが切れる音がした。

パーシヴァル「まったく!急に消えたと思ったらこんな怪我をして帰ってきやがって!
お前はもっと自分を大事にしろ!
俺が…俺がどれだけ……」

……どれだけ?
どれだけ……なんだ?
俺は今、何を言おうとした?

『あの、ご心配をおかけしてすみませんでした!
遠征についてのご報告が出来なかったのは、急に決まってしまって、それから会えなくて……』

心配?
……そうか。心配……か……

なぜこんなにイライラするのか……
なぜこんなに心配だったのか……
なぜこんなにほっとしているのか……

自覚してからは早かった。
俺はそっとベットから体を起こして座っているヒサコを抱きしめた。

『えっ………?』

パーシヴァル「ああ、そうだ、心配した……!
無事でよかった……!」

俺らしくない……そんなことはわかってる……
でも………

パーシヴァル「あんな思いは二度とごめんだ……
もう、俺から離れるな……!
そばに…いてくれ……!」

でも、もうとめられない……

パーシヴァル「好きだ……ヒサコ……!」

好き…か……
俺がこんな感情に、しかも邪険に思ってた相手になるなんてな……

ふっ、しかし不思議と悪い気はしない……
むしろどこか心地よさをも感じている。

『あ、あの…あのあのあの!………』

ヒサコはひどく混乱しているようだ。
そりゃそうか。

俺は手を離して彼女をじっと見る。



どういうこと……?
パーシヴァル様は、私を…好き……?

私にとってパーシヴァル様は憧れの人……

強くて、堂々としていて、かっこいい。
私もこんな人になりたくて……

そんなパーシヴァル様が今、不安そうにこちらを見ている。

なんでだろう?

そんなパーシヴァル様をかわいいと思ってしまう。
いとおしく思ってしまう。

そっか……
私もいつの間にかパーシヴァル様のことを好きになっていたんだね。

『パーシヴァル様』

彼の名前を呼ぶ。
そして笑顔で言った。

『私も…好きです!』



END

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