フェイトエピソード
□家臣にしてください!
2ページ/3ページ
あのあと聞いた話だが、遠征の帰りに魔物に襲われている民間人を見つけたらしい。
助けようと慌ててその民間人を突き飛ばしたところ、魔物にやられたと……
まったく、後先考えないやつめ。
民間人の手を引いて避けさせるなり、魔物の方を突き飛ばすなり、他に方法はあっただろう。
そんなことを思いだし、若干イライラしながらヒサコの病室に向かった。
また側の椅子に腰かけ、ヒサコをじっと見つめる。
いつまで待たせるつもりだ……
早く起きろ……!
『ん、んんう……んぁ?』
目を開けるとなんとなく見たことのある天井。
ここ、医務室……?
そっか、あの人を助けようとして、私は……
チラチラと辺りを見回すと、視界に入ったのは赤い鎧……って!
『パーシヴァル様!?』
思わず叫んで、バッと起きあがってしまった。
どうして……?
パーシヴァル様……
昔私が魔物に襲われたときに助けてくれた人……
それ以来騎士に憧れ、この黒竜騎士団に入団した。
この騎士団に入ってからしばらくたったころ、私はある噂を耳にした。
それは、パーシヴァル様は自分が認めた人を家臣と呼ぶ、というものだった。
パーシヴァル様に家臣にしていただけたら、
そのときこそ、真の騎士になれるんじゃないか……
そう思ってパーシヴァル様に近づいた。
なんとなく邪険に扱われてるような気はしていた。
だからこそ不思議なのだ。
なぜ彼が今ここにいるのかが……