スパイに恋愛はご法度!
□大掃除
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私がここに来てそう日の経たないある朝のこと。
私は部屋の中を見回して、はぁー、っとため息をついた。
『あの、ランスロットさん。前から気になっていたのですが、この部屋……』
ランスロット「あ、ああ……、すまない……。どうも昔から片付けは苦手で……」
私がため息をついた理由。それはこの部屋の有り様のせいだ。
物は出しっぱなしだし、服は脱ぎっぱなし……
そう、とにかく散らかっているのだ。
ここに来た初日にも思ったことだが、まるで空き巣に入られた跡みたいだ。
でも、それを利用して……
『そ、そうなんですか……。でもこんなに散らかっていたら大事なものとか無くしちゃったりしないんですか?』
ランスロット「あー、実はそれがあるんだ……。結局見つかったんだが、それ以来、城から持ち出し禁止になってしまって……」
『あはは……。そうなんですか……』
あんのかよ!
やっぱり城か。ランスロットの部屋とかだろうか?
……そこも散らかってそう………
『あ、あの……手伝いますので、一緒に片付けませんか?』
「いいのか?……すまない、助かるよ」
そろそろちゃんと床見たかったし、しょうがないから手伝ってやるよ。
『ええと、本は本棚に、服は後で洗濯するからまとめて置いておいて……。いるものといらないものの仕分けはランスロットさんお願いします』
ランスロット「ああ。本当にすまない……ありがとう」
『いえいえ、居候の身ですし、このくらいさせてください。
あ、そうだ!もしよければこれから食事も私が作りましょうか?』
ランスロット「いいのか?いや、しかし、そこまでさせるわけには……」
『遠慮しなくて大丈夫ですよ。料理するの好きなんです』
ランスロット「そうか。ならお願いしてもいいか?」
『はい!まかせてください!』
ランスロット「ありがとう。楽しみだな、ヒサコの料理」
その後、見違えるくらいきれいに片付いた部屋を見てにこにこしてるランスロットは、
「ヴェインが見たら驚くだろうな。今度呼ぼうかな」
と言っていたが、彼ならこの間みたいに勝手にくるだろ、という言葉はのみこんでおいた。
ちょうどお昼時だったので、私はさっそく料理にとりかかることにした。
ふふふ、スパイの訓練の中で一番好きなのが料理なの。
野宿用から家庭料理までわりとなんでも作れるのよ。
家にある材料的に、今日のメニューはオムライスかな。
スプーンですくって、ふーふーと息を吹きかけ粗熱をとり……パクッ
ランスロット「!…おいしい!すごくおいしいよ」
『ふふ、お褒めにあずかり光栄です』
ランスロット「これから食事の時間が楽しみだ。よろしくなヒサコ」