私立九瓏ノ主学園 アルスマグナ
□貴方のネックレス
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「急に呼び出したのは他でもありません、アキラ先輩の話です」
食堂に連れていかれ、4人分の席を取って座る。
ちなみに、俺の隣は黒髪、前はピンクだ。
さりげなく周りを見渡しても、いつもの彼の姿はここにはなかった。
弁当なんて作る時間がないからと、大体は学食で済ませているはずなのに。
「アキラ先輩のこと探してます?」
「……いや、別に」
「アキラくんなら、最近は学食食べに来てないよ?」
「そうなん……ですか?」
「あ、奏先輩意外と気になってるんでしょ〜?」
「気になってないです」
「またまたぁ〜嘘ばっかり」
隣で意気揚々とカレーを食いながら嫌味を言ってくる後輩を今すぐ投げ飛ばしてやりたい。
「ねぇぱっくん、本題忘れてるよ?」
「あっ、そうでしたそうでした」
短く咳払いをして、パクが俺の方に向き直った。
「アキラ先輩の話なんですけど、最近やたらとどっか行くんですよね。奏先輩もないですか?お昼一緒に食べなくなったりとか、放課後一緒に帰らなかったりとか」
言われてみれば、確かにそうかもしれない。
いつもならお昼も放課後も向こうから誘ってくれるのに、ここ最近は「ちょっと用事がある」と言ってどこかへ行ってしまう。
「……確かに、一緒にいることが少し少なくなりましたね」
「でしょ?なーんか怪しいんですよね…」
確かに、俺も怪しいとは思う。
でも、何をしているのかなんて聞く勇気は持ち合わせていない。
「今日の部活の後、ちょっと尾行してみません?」
「ぱっくん、それはダメだよ…!」
タツキ先輩がすかさず止めに入った。
そんな悪趣味なことは好まないのだろう。
「いいじゃないですか!あ、それとも、タツキ先輩はアキラ先輩のこと気にならないって言うんですか?」
パクがタツキ先輩の方をくるっと向いて問いかけた。
「いや、気になるけどさぁ…」
あぁ、言いくるめられてしまった。
「奏先輩はどうですか?気になりません?」
また俺の方に向き直り、真っ直ぐな眼差しで俺の答えを待っている。
「俺は……」