漆黒の天使

□seven
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「あ、魅也ー!!」


『蘭、園子!』



集合場所はプライベートの発着場。そこに行くまでに合流するはずだったのに珍しく寝坊をしてしまって現地集合だ。
寝坊した理由はドキドキして眠れなかったという小学生のようなものだった。この年でそんな気持ちになるなんて思ってなかったから寝坊した事に自分が1番驚いた。


死ぬ気で走って集合場所に付けば蘭と園子が待っていてくれた。既に他の皆は飛行船の中に入っているらしい。ごめんなさいと最敬礼で謝るといいよいいよと言ってくれる。いい友達を持ったものだ。


周りの仕事をしている人達にも謝り回ると園子に真面目ねぇと言われる。確かに園子のプライベートのものだけど、だからこそ謝らなければならない。


一通り謝り終わると中に入る。すぐに飛行船は出発した。すぐとは言ってもゆっくりゆっくり登っていく。その感じが余計に高揚感を持たせる。


もう街が小さく見えるほどになってから私達はロビーへ向かったのだった。










「あ、魅也さん!」


『ごめんなさい遅れてしまって』


「ねーちゃん誰だ?」



コナンに謝るとその側にいた男の子にそう言われた。小太りな彼は不躾にもそう言ったが小学生だしそんなものだろう。
彼の隣にいた線が細いそばかすの男の子が失礼ですよ!と窘めていたからこう言う子もいるんだと感心。



「うわあ!おねーさんすっごく綺麗!!」


『え?』


「初めまして!私、吉田歩美!おねーさんは?」



瞳をキラキラと輝かせて私にそう訪ねた少女にたじろいでしまう。コナンに笑われた。



「あら、遅かったわね」


『哀……』


「あれ?哀ちゃんの知り合い?」


「どちらかというと江戸川君のよ」


「ええ!?コナン君、こんな美人さんと知り合いなんですか!?」



そばかす君が何故か食いついた。おばさん、またたじろいじゃうよ。



「無事に乗れたようで何よりじゃ」


『阿笠さん!すみません、遅れてしまって……』


「なんのなんの。もう皆に十分謝り回っておったろう?ワシが言うのもなんじゃが気にしないでいいんじゃよ」



阿笠さんの言葉に笑みが溢れる。近くにいた園子もそーよ!と言ってくれて余計に笑った。
その顔を見て歩美ちゃんがおねーさん笑った顔すっごく可愛い!!!と大絶賛。おばさん恥ずかしいのでほどほどにしてくれませんかね?



『……秋桜魅也といいます。よろしくね』


「俺、小島元太!」


「僕は円谷光彦です!!」


「私達、少年探偵団なの!」


『少年探偵団?』



コナンを見てみると呆れた顔をしているから無理矢理入らせられたと見える。哀ちゃんもだよと続ける歩美ちゃんは本当によく笑う子だ。哀はクールに腕を組んで何も言わなかった。



「久しぶりじゃな、お嬢ちゃん」


『次郎吉さん!』



突然現れた次郎吉さんに背筋がぴしりと伸びる。遅れた事を謝ると5分ぐらいいいわいいいわい!と言って豪快に笑った。優しい人でよかった。



「この前のキッドの出しぬきは見事だった。それに変装も暴いておったな。今回も期待しとるぞ!」


『あ、あはは……』



何故気に入られているのかわからないけど私の肩をバンバンと叩く次郎吉さんに苦笑いが出てしまった。まあ今回のキッドはどうやって侵入するのかわからないからなんとも言えないけど。……多分もう潜んでるんだろうな。



『そういえば予告状って?』


「ああ、これよ」



園子がそういって現物を見せてくれる。



『天空の貴婦人、レディースカイを本日盗みに参ります。しかし70を超えたご老体に長時間の緊張を強いるのは忍びない。そこでこの飛行船が大阪市上空に入った時に盗む事に致します。それまでは空の旅をお楽しみくださいませ。怪盗キッド……』


「あーん!キッド様〜!カッコイイ〜!!」



園子は身をくねらせそういっている。控えめにいって理解できない。
何でもキッドはマジックを使って観衆を楽しませ、甘いマスクで主に女性を翻弄しているところからファンも多いんだとか。道理で前に盗みに来た時歓声が凄かったわけだ。



『まあ顔はカッコイイですけど……』


「でしょでしょ!?」
「え゛え!?」


『え?』



園子の言葉に被って聞こえて来た嫌そうな声。コナンのものだ。何でアンタが嫌がってんのよガキンチョと言う園子にしどろもどろしながら言葉を探すコナン。



「ははーん、もしかして魅也の事が好きだな!」


「ばっ!!違うよ!!!」


「あーん?今バカって言ったか?」


「痛い!!痛いよ園子姉ちゃん!!」



コントのようなやりとりに皆笑っている。少年探偵団には冷やかされているし、ドンマイ、コナン。








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