CuteなSugar
□ヒーロー
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櫻葉【ヒーロー☆2】CuteなSugar
翌週から、学校が終わると、しょーちゃんは遊びに来てくれた。
だけど、それがやたらと早い時間で、気になってて、3日目の水曜日にやっと聞き出せた。
「しょーちゃん?
あのさ?部活、行ってないの?」
「あぁ、うん・・・
雅紀が休んでるから、帰って一緒に勉強するからって休ませて貰ってる。」
「しょーちゃん、、、そこまでしてくれなくても…」
「いいんだよ!
俺がいいんだから、それでいいの!」
しょーちゃん・・・。
うちの学校は、スポーツは強くはない。
どちらかと言えば、身体を動かしたいとか、趣味感覚で活動してる感じだった。
それでも、そういう部活でも、しょーちゃんがサッカーが好きで打ち込んでいたのは知っていたから。
だから、ちょっぴり胸が痛くなったけど、でもその気持ちを突き返すより、しっかり受け止めて大切にしたいって思った。
「しょーちゃん?
ポッキーあるけど…また競争する?」
「えっ?いいの?」
「それとも・・・またキスしてくれる?」
すごくドキドキしてた。
ポッキーのチョコだけ、どっちが先に舐め終わるかをやった時、、、最初はわかんなかったけど。
途中で、しょーちゃんの熱い視線に気が付いてドキドキしてたんだ。
初めてキスした日から、また友達みたいになっちゃってたから、やっぱり、しょーちゃんは優しいから、オレからの告白を断れなくて合わせてくれてただけかなって思ってたけど。。。
でも、抱き締めて寝てくれたから、、、それから、もっとハッキリとした、しょーちゃんの気持ちを知りたいと思ってしまう。
多分、オレ、真っ赤になってる。
でも、目の前のしょーちゃんも真っ赤になって、口をパクパクさせてる。
「お、おまっ、、えっ?いっ、、いいのっ?」
「しょーちゃん、そんなにあたふたしないでよ!
オレだって、すごく恥ずかしいんだから…。」
「あっ、、ご、ごめん…
あ、えーっとさ、、、。
先に、、抱き締めてもいい?」
先に?
よく意味がわからなかったけど、コクンって頷いたら、しょーちゃんが“ンッンンツ!”って咳払いの真似をして、オレの隣に移動してくる。
そこから、オレの向きを自分のほうへ、クルっとしてオレの身体を包み込むように抱き締めてきた。
「あぁ、、これこれ…♪
雅紀が泊まったじゃん?
あの夜、これにすげー、感動したんだ。」
「感動?」
「大切な人が腕の中にいるって、すげー、大人になった気分じゃね?」
大人になった気分なんて言ってるけど、しょーちゃんは小刻みに震えてる。
もちろんオレだって…。
そのまま、しばらく黙ったままで、お互いの鼓動を確認するみたいに、ずっと黙ったままで…。
オレも、しょーちゃんの腰にゆるく腕を回した。
まだまだ恥ずかしくて、大人みたいにギュウってすることが出来なかったから。
それから、しょーちゃんが少し身体を離して、両手をオレの肩に置いて、ジーっと見つめてきた。
いつも、ふにゃふにゃの顔の時が多いのに、すごく真面目な顔で、目の前のキラキラしたしょーちゃん真っ黒い瞳の中に、オレが見えるぐらいの近さで、恥ずかしくなって、俯いてしまう。
「雅紀、顔上げてよ…」
「あ、、う、、うん…」
オレが顔を上げるのと、しょーちゃんの唇が重なってくるのと、同時ぐらいだった。
顔を上げようとした時には、しょーちゃんの顔が目の前に迫ってて、目をギュっと瞑った。
重なってきた唇は小刻みに震えていた。
もちろんオレだって…。
1、2、3、4、5、、、そのぐらいの短いキスだったけど、唇が離れて、目が合うと、さっきより、めちゃくちゃ恥ずかしくなって…。
二人で慌てて身体を離すと、お膳のほうを同時に向いたから、そこから笑ってしまう。
「しょーちゃん、笑わないでよ!」
「雅紀だって笑ってんだろ?」
やっぱ、ふざけてキスしただけかな?
きちんと聞いてみたい…。
だけど、幼馴染みという壁が邪魔をして、なんとなく改まって聞きにくい。
オレは、無意味にシャーペンの芯をカチカチ出しながら、さりげなさを装って、心を静める。
「しょーちゃん…
あのさ?オレって幼馴染みだけ?
幼馴染みの友達?それとも…」
しょーちゃんがオレの手をシャーペンごとお膳にガツンと押さえつけてくるから、びっくりして、しょーちゃんを見た。
「雅紀…俺、お前が考えてるより本気だからな?」
「しょーちゃん…」
「なんで、そういうこと言うの?
俺、そんなに信用ない?」
オレは慌てて、ブンブン首を振る。
そんなんじゃない。
「違うよ、、しょーちゃん!
あの、、、だからさ?
オレ、、オレが男だから、、だよ。。。」
「だったら、俺だって男じゃん…
俺は、雅紀が男とか女とか関係ないから。
人として、、、お前が好きだし、大切だし、離したくないし、ずっと守りたいって思ってるから。」
すごく真面目な顔をして言ってくれた しょーちゃんの告白は、言葉だけじゃなく、その場のノリでもなく、オレが考えているよりも、ずっとずっと強い意思があるものだったんだ。
…つづく…