CuteなSugar

□バレンタイン
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【バレンタイン☆2】CuteなSugar





電車にも間に合って、しょーちゃんが家に帰るより早くポストにチョコも入れてスタンバイして、角に隠れて見ていたら、しょーちゃんが帰ってくる。


来た来た・・・。
心臓がドクドクする。


考えてみたら、しょーちゃんに何かあげたのなんて、小さい時に、使わなくなったミニカーを交換したとか、そんなんだけじゃん。

なのに、しょーちゃんはポストを確認しないまま家の中へ入っていってしまう。


あぁ、しょーちゃん、ポスト見ないんだっけ。

長いこと一緒だったけど、そういえばしょーちゃんがポストを確認していたのを見たことがない。
そんな肝心なことを忘れてた。


しょーちゃんの家族にチョコが見つかったら恥ずかしいから、オレはポストにチョコを取りに行った。


なんだか、急にバカバカしくなっちゃって…。

オレがチョコあげたって嬉しくもなんともないのに…。
オレだけテンションあげちゃって、なにやってんだよっ!



「雅紀ぃっ!」



上からしょーちゃんの声がして、慌ててチョコを後ろに隠して見上げた。。
門から見える2階の窓は、しょーちゃんの部屋なんだ。



「な、なにっ?」



「お前、暇なの?
先に帰るって言ってたからさ?
お前が先に帰ったから大変だったんだぞ!
ちょっと、上がって来いよ!」



「わかった…」



しょーちゃんが部屋に入るのを確認してから家の中に入る。

もう自分ちみたいな感じだから、ピンポンもしないで“お邪魔しまーす”って感じなんだけど、今日はさ?


チョコ、、どうしよう?
ポッケに入れたかったけど、かさばりすぎててうまく入らないまま、後ろに隠すようにして、しょーちゃんの部屋のドアを開ける。


開けた瞬間から、赤やピンクやハートやリボンやらが目に飛び込んできた。

しょーちゃんのベッドの上には、今日のバレンタインでもらってきたと思われるプレゼントの数々。


すごい…おんなのこって、すごい。


どれも、ちょー、かわいいの。
中身じゃないよ?
見えたの外側だけだよ?

でも外側だけで、その本気ぶりっつーか、女子力満載感がすげーんだもん。


オレみたいな厚紙工作とか、母ちゃんが取っておいたどっかのかわいめの袋なんて足元にも及ばない。


ポスト見られないで良かった…。



「部屋入れよ。親くるとウザイから、入って閉めろよ。」



「あ、うん…」



チョコを見られたくなくて後ろ手にドアを閉めたら、持ってたチョコを落としちゃって、慌てて拾った。



「なに?今の?」



「なっ、、なんでもないっ!」



「誰に貰ったの?見せろよ!」



しょーちゃんが近付いてきて、オレの手から、アルファベットチョコを奪おうとするから、必死になって揉み合った。


小さい時は力だってオレのほうが強かったのにさ?

今だって、オレのほうが強いこともあるけど、揉み合うとウェイトの差で負けてしまう。


二人でバランスを崩してベッドに倒れ込んだのをいいことに、しょーちゃんは、力付くで乗っかるとオレの手から、アルファベットチョコを奪おうとした。



「しょーちゃんっ!ダメだったら…」



しょーちゃんの押さえる力が抜けたから、オレの真剣な訴えをきいてくれたんだと思ってたけど、そうじゃなくて。

ちょっとだけ遅かったんだ。

しょーちゃんは、袋に書いてある“しょーちゃんへ”を目にして力を抜いてたんだ。



「雅紀、、ね?これ雅紀から?
誰かから預かったわけじゃないよな?」



オレをベッドに倒したまま、オレの頭の両側に手をついて、嬉しいみたいな、嬉しくないみたいな、変な顔をしてる。


もう、いいや…。
隠しても、しょーがないし。
しょーちゃんは優しいから、バカげてると思ってたって、笑わないでサラっと流してくれるかもしれないしさ?



「オ、、レ、、から…
あのさ?あの、、ふざけただけだからさ?」



「ふざけてたの?」



「だから、、全部ふざけたわけじゃないけどさ?
しょーちゃん、いつも勉強教えてくれるじゃん。
バレンタインって御礼してもいい日だって聞いたんだよ。」



しょーちゃんはガバっと起き上がると、ベッドに座り直して袋から中身を取り出した。





…つづく…
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