CuteなSugar
□ミチシルベ
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櫻葉【ミチシルベ☆1】CuteなSugar
今日は、歓迎会だった。
しょーちゃんは海外事業部所属で、海外勤務をしていた岡田さんが日本へ戻ってきたんだ。
オレは、会社の中では企画室っていう、ちょっと特殊な執務に就いてるんだけど。
海外事業部との関わりも多くて、歓迎会には二人で出席した。
日本へ戻ってきた岡田課長は、身体まで一回り大きくなって逞しくなってたけど、
それよりも、知識とかあれこれ、、、難しいこといっぱい知ってて。
半分、ポカンって聞いてるオレの隣で、しょーちゃんは興味津々な様子で聞いてた。
ずっと気になってたことが、また甦ってくる。
しょーちゃんだって、海外にいってバリバリ仕事したいんじゃないのかな?
だから、帰ってきてから、さりげなく切り出すことにしたんだ。
「岡田課長…すごかったね。」
「あぁ、すげぇな…
引き運も強いって思われてんのかもしれないけど、
あの人の努力も半端ねぇって思うよ。」
「しょ、、しょーちゃんもさ?声、かかってるんでしょ?
そういうのチャンスじゃないの?」
これまでに、しょーちゃんにだって何度も海外勤務の話が出てる。。
希望を出したって、なかなか行けるわけじゃないのに、しょーちゃんは海外勤務を断る男って有名になってるぐらい。
「まぁ、チャンスってもな…
海外に行けばいいってもんでもないからな。」
しょーちゃんはそう言うけど…。
オレは、自分が足を引っ張ってる気がして、、、。
ずっと、ずっと、気になってたんだ。
それはオレの甘えた過去に原因があった。
*あれは大学に入学して少しした頃*
講義が終わり、オレは教授に呼び止められた。
「じゃ、カフェで待ってるわ…」
しょーちゃんは、そう言うと、さっさと行っちゃうし。
オレは、人見知りを発動させながら、教授のあとをついていったんだけど。
話の半分もわからないまま資料を渡されて、しょーちゃんの待つカフェへと向かう。
「ふぅん、、、。
新体制のカリキュラムねぇ…」
教授から貰った資料には、今年から始まった新体制のカリキュラムについて書かれている。
一般的な留学やホームスティとは少し違うって言われたんだけど。
「そのまま単位も取れるって言われたんだけどさ?」
「学部留学みたいなもんか…
いいんじゃない?
行ってみたら?
選ばれたんだろ?」
「そうだけど…」
入学して、まだ大学にも慣れてなかった。
しょーちゃんに合わせて、ちょっと無理をしたから、
勉強だって、、、ついていけるか不安だし。
「チャンスじゃん…
チャンスは無駄にしないほうがいいと思うし。
2ヶ月だけだろ?」
だけだろって・・・・。
「2ヶ月も、だよ!
2ヶ月も、しょーちゃんと…」
離ればなれになりたくない。
甘えてるってわかってるけど。
チャンスとか勉強とか大切だって知ってるけど。
でも、しょーちゃんが『行くな!』なんて言うわけないよね。
ちょっとは期待してたんだけどな。
高校生の時、しょーちゃんのパパが海外勤務になった時だって、家出するみたいに、すぐに戻ってきてくれたから。
「行きたく、、な、、ぃ…」
ううん、行きたくないわけじゃない。
しょーちゃんと一緒なら、だったら、すぐに決められる。
でも、大学生にもなったオレは、
そんな甘えたことを言ってはいけないって思ってた。
…つづく…