CuteなSugar

□君に夢中
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櫻葉【君に夢中☆1】CuteなSugar




しょーちゃんが大空先輩の結婚式に呼ばれた日。

久しぶりに、松岡先輩に誘われて一緒にご飯を食べてカラオケに行ってきたんだけど。


帰ってきて、少ししたら、しょーちゃんも帰ってきて、そのことを話すと、あの日と同じように寂しそうな顔をした。


だから、元気になって欲しくて、大空先輩から貰ってきたって言うチョコをしょーちゃんの口に入れて、ハムスターみたいになった顔を写真に撮ったまではいいんだけど。

しょーちゃんが、オレに近寄ってきて、パーカーのファスナーをおろして、中のシャツのボタンを指をかけて言ってきたんだ。



「珍しいね…いつもセーターなのに?」



「そ、それはさ?」



それは、、、しょーちゃんには言ってないけど。
しょーちゃんにシャツのボタンを外されると、今でもスゲードキドキするから。
ドキドキし過ぎて、困るぐらいドキドキなって、もう、トラウマみたいに、ドキドキだからなんだけど。

嬉しいような、どうしたらいいのか、わからないような…。


シャツのボタンを外していくしょーちゃんは、寂しそうな顔から一気に雄というか漢というか、そういう顔になるんだ。





*あれは高校2年の夏休み*



最近は、サッカー部の人や、都会っ子にも少し馴染むことが出来て、、、それを しょーちゃんに言ったら『おせーよ!』と笑われた。


だよね、、もう2年だもん。


でも、しょーちゃんが居なかったら、馴染む間もなく卒業してたと思うから、感謝してたんだ。

なのに、しょーちゃんは、時々、寂しいみたいな拗ねたみたいな複雑な顔をすることがある。


気のせいかな?って思ってたけど、今日も松岡先輩の話をしてから、目を合わせてくれないし。


ん?松岡先輩の話をする前からかな?


で、ふと思い出した。
小学生のころ、しょーちゃんの妹が入院することになって、しょーちゃんをうちで預かることになったんだけど。


あの時も、こういう顔してた。


しょーちゃんは、、ママが大好きだったから、ママと離れたくなかったと思ってさ?
だから『ずっと一緒にいるよ』って言ってあげたんだけどさ?

その時、すごく嬉しそうに頷いてくれて、夕飯もおかわりして、元気になってくれたからさ?


ちょこっと大人になった分だけ、同じ言葉と一緒に、、しょーちゃんを抱き締めてみた。
しょーちゃんの部屋だったし、誰も見てないから、これぐらいいいよねって…。


なのに、少しして身体を離した しょーちゃんは嬉しそうな顔をしないで、さっきより怖いぐらい真面目な顔をしてオレのことを見てきた。


その真面目な顔のまま、オレのシャツのボタンに指をかけて外していく。
部室の前では『見せるな』って言って留めてくれたのに、ひとつ またひとつと外して、最後のひとつを外したら、シャツを左右にゆっくりと広げてきた。


その視線が痛いぐらいで、いつもの しょーちゃんじゃなくて言葉が出なかったんだけど、シャツの中の素肌に、しょーちゃんの手が触れた時、思わずシャツの前を閉じるように その手を払い除けてしまったんだ。



「しょーちゃん、、恥ずかしいよ…」



そう、、恥ずかしかった。

裸でいることなんか当たり前に育ってきていたのに、おかしいよね。
でも、しょーちゃんの眼差しに耐えられなかったというか。
見られるわけじゃない裸と、絶対に見られてるってわかってる裸。


その違いに初めて気が付いたんだ。


胸の前でクロスするようにシャツを抑えてるオレの手を、しょーちゃんがゆっくりとほどいていく。



「雅紀が見たい…」



「見たいって、、いつも見てるじゃん…」



「そうだけど、、今日はちょっとさ、、なんか違うっつーかさ?」



「それに、おっぱいないよ、オレ…」



恥ずかしくて、色んな言い訳を探してた。
言い訳を探しながら、夏休み前の教室を思い出していたんだ。

高2にもなれば、教室では『経験した』だとか『夏休みがチャンス』だとか、そんな話で持ちきりだった。

オレはニコニコして その場にいるだけだったけどさ。

だって、オレはみんなとは違うから…経験と言ったって、しょーちゃんとは、どうすればいいのか わからないし。



「雅紀はさ?俺が相手だったら、、どう思ってる?」



「相手って?」



わかってたけど、なんだか怖くて確認してしまった。



「だから、大人になるってことだよ…」



それは…。
しょーちゃん以外には考えられないけど、なんて答えたら正解なんだろう?


わからなくて、ただ しょーちゃんを見つめてしまう。





…つづく…
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