CuteなSugar
□ホワイトデー
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【ホワイトデー☆1】CuteなSugar
今朝、満員電車の中で、雅紀が一緒に帰れるか聞いてきた。
接待なんかなかったけどさ?
今日はバレンタインだし、たまには別々に帰って雅紀をびっくりさせようかと思って、『接待だ』って嘘をついた。
いつもは残念そうな顔をするのに、雅紀が少しだけ笑ったから、何か企んでるのかもしれない。
こんなバレバレなところが憎めないし、かわいいし、大好きなんだけど。
高校1年の時のバレンタイン、雅紀から初めてチョコを貰った時は、予想外というか、全く考えてなくてテンション高くなりすぎて…。
それから、雅紀が貰ったチョコの量が、中学の時より、一気に増えたから、妙に嫉妬して焦ったなぁ。
雅紀のことを意識しはじめたのは、よく覚えてないけど、中学の時。
それが意識してるとか曖昧な感じじゃなくて、絶対に手離したくないって強く思ったのは、中学の卒業式の時だった。
*あれは高校1年の3月*
「しょーちゃん、おはよぉ♪
行くよー!」
毎朝のこと。
雅紀は、いつも玄関まで呼びに来てくれる。
ただ、こっからが俺と雅紀の戦いだった。
「雅紀ぃ、、おはよぉ…」
「ちょっ!しょーちゃん、まだ着替えてないの?
急がないと、ダッシュしても間に合わなくなるよ?」
「間に合わなくなったら、ママに送ってもら・・・・」
「しょーちゃん、いつまでも、ママ、ママ、言わないの!」
雅紀は、鞄を玄関に置くと、2階の俺の部屋に駆け足で上がって、制服とシャツと靴下を取ってくる。
俺は朝飯食べてんのに、スウェット無理矢理脱がされて・・・。
「お前っ、そんなに引っ張ったら、パンツも脱げるだろ?」
「つべこべ言わずに早く食べちゃって!
今日、荷物多くてあまり走りたくないし、しょーちゃんの荷物も持ってあげられないんだから…」
母親は『まーくん、いつもごめんねぇ』なんて暢気に謝ってるし。
だから、学校まで送ってもら、、、
「しょーちゃん、シャツ、腕通して!」
「はい・・・」
食パンを持つ手を替えて、腕を通したら、あとは雅紀がやってくれる。
こいつね?靴下まで履かせてくれるんだよ。
あー、こんな姿、誰にも見せらんねぇ・・・なんて思いつつ、雅紀に世話を焼かれるのは、ちょー楽しくて嬉しくてやめられない♪♪
「しょーちゃんっ!
ニタニタしないで、ご飯食べちゃって!」
「は、はい…」
着替えたら、次は洗面所に連れて行かれて、歯ブラシ渡されて、ゴシゴシしてる間に、雅紀が寝癖を直して髪をセットしてくれるんだけどさ?
「まはひぃ、、ひょーは、ひはひわへひひへ?」
「左分けにすんのね?」
すげーだろ?
歯ブラシくわえたままでも、雅紀だけは、なんでもわかってくれるから、俺は幸せなんだぁぁぁ♪
それに、雅紀の細くて長い指が、髪の間から地肌に触れると、なんつーか、気持ちいい気分になってきて…///
「しょーちゃんっ!
ニタニタしてないで、早くブクブクぺっぺっ、してよ!」
「はひ…」
ブクブクぺっぺっ、ってさ?
俺は幼稚園児か?
まぁ、幼稚園の頃から言われ続けてるから仕方ないけどさ?
支度が終わると、雅紀が鞄と大きな紙袋を持った。
俺も鞄持って靴を履きながら聞いてみた。
「それ、なに?」
「あー、、今日、ホワイトデーだからさ?
母ちゃんが、御礼は手を抜いたらバチが当たるって言うから。
持ってけって言われた・・・。」
あっ!やっべー!
今日、ホワイトデーじゃん?
俺、何も準備してねぇじゃん?
去年までは女子に貰ったら、親がお返しを用意してくれてたけど。
今年は全部断って雅紀からだけ貰ったんだった。
しかも雅紀から初めて!
バレンタインの日、俺は何も用意してなかったから、ホワイトデーでお返しするって約束してたのに。。。
今から、お腹痛いから休むっていって、何か買いに行けたり出来ないかな…。
「しょーちゃんってば!
走るよ?」
「おっ、、あぁ、うん…」
お腹が痛いと言う暇もなく、雅紀は俺の手を取ると駅まで走り出す。
この時間も幸せなんだぁぁぁ♪♪♪
時間ギリギリだと、足の早い雅紀が絶対に手を引っ張りながら走ってくれる。
走るのは辛いけど〜
雅紀の手が〜♪
雅紀くんの手が〜♪
雅紀くんの手がボクのおててと仲良くしてるよぉぉぉん♪
と、幸せいっぱいだったのに、雅紀が急に止まるから、雅紀の背中にぶつかってしまう。
あ、赤信号だ。
「しょーちゃん?前見てた?
またニタニタしてたでしょ?
ちゃんと前見ててよ?いくよ?」
雅紀がギュっと手を握り直して、信号が青に変わるとまた走り出す♪
駅が永遠に来なければいいのに〜♪
…つづく…