CuteなSugar
□バレンタイン
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【バレンタイン☆4】CuteなSugar
しょーちゃんとは小さい時から一緒にいるのが当たり前だったけど、しょーちゃんから好きな子の話が出たのは初めてだった。
今までだって、好きな子がいるかどうかも聞けなかった。
「そっか…好きな子から貰えるといいね♪
今日は、まだ終わってないし、えっと、家まで来たりするかもね。
あの、オレ、邪魔になったら困るから帰るね。」
応援してあげたいけど、しょーちゃんの好きな子を見たくない。
しょーちゃんが嬉しそうにチョコを受け取るとこなんか見たくない。
しょーちゃんと居るのが辛くて、急いで部屋を出ようドアノブに手をかけたら、その手を力一杯掴まれる。
身体をクルンって回転させられて、ドアにしょーちゃんの手がドンって押し付けられると、しょーちゃんの真面目な顔が迫ってきた。
※今でいう壁ドンだけど、当時はそんな言葉はまだなかった。by現在のオレ
「邪魔なんて思ってねーし!
それにチョコ貰ったから、今日は誰も来ないよ?」
「あ、そうだったんだ…」
あー、そっか。。。
本命チョコは、もう貰ってたんだ。
ってことは、、、両想いなんだ。。。
また、ひとつ、しょーちゃんが大人になって遠い存在になるみたいで、泣きたくなってくる。
「それに、、、雅紀?
あれ、持って帰れって言っただろ?」
「あっ、、、うん。ごめん。」
しょーちゃんはベッドの上の甘い色したいろんなものを親指で指してから、またオレにググっと顔を近付けてきた。
さっきまでは、ちょっとテンション高くなってたけど、今は、しょーちゃんの両想いを知った今は、甘い色が全部灰色にしか見えない。
「くくく、、、アハッ、アハハハハ…
雅紀は、やっぱ、雅紀だよなぁ…」
「へ?」
しょーちゃんは、急に笑い出して、『ちょっと聞いてくれる?』って、オレの手を引っ張ると、またベッドに座らされた。
「俺ね、ちょっと悩んでるっつーかさ?」
「うん…」
「好きな子からチョコ貰えたんだけどさ?」
「うん…」
そんな話聞きたくないよ。
しょーちゃん、、オレはしょーちゃんの幸せを祈りたい。
でも、そんな話聞くの辛すぎるよ。
せめて、せめて、オレがしょーちゃんを諦め切れたら、そしたら聞くから…。
だから、今は・・・・。
「メッ・・・がさ?
す・じゃなく・・・あり・・うって・・・
どう思う?
これは、告・っつーか、ただの挨拶みたい・もん・・かな?」
「へ?挨拶?」
「お前、聞いてた?」
「あ、ごめん…」
「まぁ、いいや。」
「え?ごめん、、聞くから。ちゃんと聞くから!」
しょーちゃんには嫌われたくないっ!
例え、両想いになれなくても、オレは幼馴染みで、しょーちゃんの中の幼馴染みの一番だったら、それでもいいから。
しょーちゃんの側にいるためには、もう、それしかないんだから。
「雅紀?じゃ、来月になったら聞いてくれる?」
「来月?」
「アハハハハ、そんな顔すんなよ!」
しょーちゃんは、それから、オレのプレゼントを勝手に開けたりして、『C組の智美はかわいいよ』とか、サッカー部の大空先輩から預かってきたプレゼントを開けて『雅紀は男にもモテるんだよなぁ』と言って、サッカーボール柄の包みを開いて、真ん丸チョコを両方の頬っぺたに入れて、オレを笑わせてくれた。
***
チョコブラウニーが焼き上がって、少し冷ましてから箱に入れようと、後片付けをしていたら、玄関のほうで音がした。
ん?誰か入ってきた?
慌てて、玄関に行くと、しょーちゃんが靴を脱いでるとこで。
「しょーちゃん、、あれ?あ、おかえり…
部長と接待じゃなかったの?」
「雅紀ぃ♪はい、これ!」
「えっ?」
渡された袋の中から、いい匂いがしてて、上には花束が乗ってる。
「しょーちゃん?オレに、、、だよね?」
「そーだよ。
接待って言って、たまには、びっくりさせたかったからさ?
それにメシまだなんだろ?
一緒に食べようかと思って…」
「しょーちゃん、、、。」
うっ!泣きそう…。
あんな、ちっちゃかった、しょーちゃんが、朝も起きれないしょーちゃんが、オレのために…。
って、泣いてる場合じゃないでしょ!?
オレ、まだ途中じゃん…。
「それに、、来月まで待たせたら、雅紀、また忘れちゃうだろ?」
「しょーちゃん、まだ覚えたの?」
「雅紀から初めて貰ったんだぞ?
忘れるわけないだろ?」
って、そんな、あの日のことをウダウダ言ってる場合じゃない!
「あっ、しょーちゃん、あのさ?
オレ、あの、まだ…」
「アハハハハ…
わかってる。部屋に入った時から甘い匂いしてるから。」
しょーちゃんは、オレを抱き締めてくると『雅紀も甘くて美味しそうな匂いがする♪』って、キスをくれた。
初めてチョコを渡した高校1年のバレンタインの1ヶ月後、何があったのかは、また別のお話で。
…おしまい…