Daylight
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櫻葉【155】◆Daylight◆
「雅紀、、、何が起こってる?」
「オレ、戻らなきゃ………
だからね、しょーちゃん。
だから、迎えに来て。」
「迎えにって?
雅紀?
ニノは?ニノは知ってるんだよな?
ニノに聞けばいいのか?」
雅紀は、小さく首を振って、『ニノはもう居ない』と呟いた。
ニノは居ない?
何がどうなってるんだ?
雅紀は?
雅紀の命がどうかなるのか?
「雅紀、、、
ちゃんと話すんだ。
何が起こってる?
俺は、どこに迎えに行けばいい?」
「しょーちゃん……
いつか、、絶対にオレを見つけて?
オレ、しょーちゃんのこと忘れないから…
しょーちゃん、絶対だよ?
絶対に迎えに来て………」
雅紀の目から大粒の涙が零れ出して、
現実と向き合うしかなくなった。
雅紀が泣く理由が、他に浮かばない。
やがて、雅紀の身体を透して、向こう側に水面が光っているのが見えてくる。
「嘘だろ………っっ
雅紀、行くなっ!
俺と運命を共にするんだろ?
俺の運命の相手なんだろ?
雅紀っ!まだ諦めるなっ!
いいから、戻れ!
な?あと少し………
少し、話をしよう?な?」
雅紀は、また小さく首を振ると、
俺に口づけてきた。
触れることはなくても、
そこには、雅紀の愛が存在してるのに…。
「しょーちゃん、ずっとずーっと、だいすきだよ…」
その言葉を最後に、
雅紀の身体は空気に飲み込まれるようにスーっと消えて…
河原には俺ひとりだけになった。
雅紀………………。
嘘だろ……?
嘘だっ……………
嘘だぁぁぁぁ……………
さっきまで、あんなに無邪気に笑って、
楽しそうにに花火を振り回して、
元気に走り回っていたじゃないか………。
今日の主役は、、雅紀、お前なんだぞ…
膝から崩れ落ちるように、自分の身も心も支え切れないでいた。
でも・・・・・。
雅紀は諦めないと言ってくれた。
俺にも同じように…。
それから迎えに来て、、と。
…………っっ!
雅紀、待ってろ!
そう、まだ終わっちゃいない。
最後まで、諦めたらダメなんだ。
俺は、カメラやゴミを袋に突っ込むと、バケツを持って無我夢中で家まで走った。
…つづく…