Daylight


□【151】〜
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櫻葉【154】◆Daylight◆





やがて、雅紀の花火の“小さな球”が落ちて、
俺の手に下がってる花火だけが、パチパチと細かな火花を散らしていた。



「しょーちゃん、、すごい………」



「落ちねぇな…」



結局、最後の1本は“小さな球”を落とさないまま燃え尽きた。



「しょーちゃん、、落ちなかったね…」



「こういうこともあるんだな…」



「花火さん、きっと諦めなかったんだね。」



「ふはは、、じゃ、雅紀と同じだ。
雅紀の花火だから諦めなかったんだ。
俺の手の中に、最後まで居てくれた…、、だろ?」



「う、、ん………」



歯切れの悪い返事を残して、雅紀は立ち上がった。



「雅紀?」



俺も、すぐに立ち上がると、
雅紀は何か言いたげな顔をして、
抱き着いてくる。



「オレ、諦めてないよ…

でもね、、しょーちゃん?」



「どうした?」



ポケットから、いつもの軍手を取り出して、雅紀の頭を包むように抱き締める。



「オレ、、、、

もう、行かなきゃ………」



「え?」



行かなきゃ、、って…。

どこに?


聞くのが怖くなる。
胸の中に、ザワザワと音を立てて強い風が舞い込んだような気分だった。



「しょーちゃん……
諦めてないよ。
オレ、諦めてないから。」



「わかった、、わかったから。
ずっと一緒だろ?
運命なんだろ?」



雅紀が、どんなに前向きな言葉を紡いでも、嫌な予感しかやってこない。

俺は、一層、力を強めて、雅紀を腕の中へ閉じ込める。


絶対に離したくはなかった。



「しょーちゃん………
もう、、時間が来ちゃったのかも。」



「雅紀、何を言ってる?」



嘘だ………………。

そんな言葉は聞きたくない。



「しょーちゃん……
しょーちゃんも、諦めないで。」



ふ、と、腕の中が軽くなった気がして、慌てて雅紀の肩に手を置いたのに、
その手は、空を切るように滑り落ちてしまった。





…つづく…
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