Daylight
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櫻葉【154】◆Daylight◆
やがて、雅紀の花火の“小さな球”が落ちて、
俺の手に下がってる花火だけが、パチパチと細かな火花を散らしていた。
「しょーちゃん、、すごい………」
「落ちねぇな…」
結局、最後の1本は“小さな球”を落とさないまま燃え尽きた。
「しょーちゃん、、落ちなかったね…」
「こういうこともあるんだな…」
「花火さん、きっと諦めなかったんだね。」
「ふはは、、じゃ、雅紀と同じだ。
雅紀の花火だから諦めなかったんだ。
俺の手の中に、最後まで居てくれた…、、だろ?」
「う、、ん………」
歯切れの悪い返事を残して、雅紀は立ち上がった。
「雅紀?」
俺も、すぐに立ち上がると、
雅紀は何か言いたげな顔をして、
抱き着いてくる。
「オレ、諦めてないよ…
でもね、、しょーちゃん?」
「どうした?」
ポケットから、いつもの軍手を取り出して、雅紀の頭を包むように抱き締める。
「オレ、、、、
もう、行かなきゃ………」
「え?」
行かなきゃ、、って…。
どこに?
聞くのが怖くなる。
胸の中に、ザワザワと音を立てて強い風が舞い込んだような気分だった。
「しょーちゃん……
諦めてないよ。
オレ、諦めてないから。」
「わかった、、わかったから。
ずっと一緒だろ?
運命なんだろ?」
雅紀が、どんなに前向きな言葉を紡いでも、嫌な予感しかやってこない。
俺は、一層、力を強めて、雅紀を腕の中へ閉じ込める。
絶対に離したくはなかった。
「しょーちゃん………
もう、、時間が来ちゃったのかも。」
「雅紀、何を言ってる?」
嘘だ………………。
そんな言葉は聞きたくない。
「しょーちゃん……
しょーちゃんも、諦めないで。」
ふ、と、腕の中が軽くなった気がして、慌てて雅紀の肩に手を置いたのに、
その手は、空を切るように滑り落ちてしまった。
…つづく…