Daylight


□【121】〜
28ページ/30ページ

櫻葉【148】◆Daylight◆






オレが入院してる病院に、しょーちゃんと行くことになった日の、少し前だった。



「ニノ、、それ、ほんとなの?」



「でも、、断ろうかと思ってるんです。」



「なんで?
断っちゃダメだよ?
チャンスなんでしょ?」



ニノの身体、、いわゆる“本体”は、もう この世にはない。


たまに、ニノみたいに本体に戻れないまま“魂”だけが残る場合と、

反対に、“魂”だけが抜けちゃって、“本体”だけが残ってしまう人がいるらしい。


今回は、ニノに適合する“本体”だけが発見されたとかで、
ニノが“人”として再出発できるチャンスなんだ。


“人”として再出発すれば、今後、生まれ変わりだって繰り返される。
それは、ニノが運命のひとと、いつか結ばれる可能性があるってこと。

ニノの運命の人は、きっと、まだニノを待ってくれてると思うから。



「チャンスって簡単に言いますけどね…
もう長いこと“魂”として過ごしてしまったんで…
今さら、、と言いますか。」



「お前、何言ってんの?
じゃ、ニノの運命の相手が待ってたら?
その人、ずーーーっとひとりなんだろ?
今世も来世も再来世も、ずーーーっとさ?
ニノは、それでも何も思わないわけ?」



ニノの、後ろ向きなとこに、ちょっと腹が立っちゃって。

オレだって諦めてない。
しょーちゃんだって待ってくれてる。


ニノだって、人間に戻るって簡単じゃないかもだけど、
戻る前から諦めてさ?

オレには、諦めんな、諦めんなって、すげー、しつこいのに!



「相葉さん……」



「なんだよ?」



「私だって、、、
私だって、あなたが居なかったら、とっとと人間になってますよっ!

でも、、でも、、、あなたが心配だから………

せめて、あなたが目を覚ますまではって、、
だけど、あなたが目を覚ます前に、もう………」



「ニノ………

もう、、もう、なんなんだよ?」



「もう、本体へ入る期限がギリギリまで迫ってしまったんです。」



「ニノ………」



悔しそうに唇を噛み締めるニノ。

そうか、、ニノが本体に行ってしまったら…。


オレは?オレはどうなるんだ?






…つづく…
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ