Daylight


□【94】〜
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櫻葉【97】◆Daylight◆





雅紀の中に入ったまでは良かったけど、先にひとつ確認しておくべきだった。


雅紀は痛みは、わからない…。

以前、火にかけたヤカンに触れた時も、透けていったから火傷はしなかった。

それは透けていったからで…。


透けていかなかった場合、怪我をすることはあるんだろうか?
欲を吐き出せるんだから、出血することだってあるかもしれない。



「雅紀、大丈夫?」



「ふっ、、う、んっ……」



“ 行 為 ”の時の表情は苦痛と同じ、と聞いたことがある。
その苦痛にも似た感覚が、果てるという形で解放される、と。


だから、雅紀が苦しそうにしているのが痛みではないとしても、、、。
いや、痛みがわからないからこそ不安が募る。

身体を 傷 付 け てないだろうか?


俺は小さいガーゼを取って 身 体 を 起こそうとした。
出血していないかだけでも確認できれば、と思ったんだ。


でも、俺が少し動くと雅紀が力いっぱい し が み つ い て くる。



「んっ、、、はぁっっ……」



それから力を抜くように息を吐き出す。



「身 体 を 傷 付 け てないか確認したいんだけど。」



「だ、いじょぶ…」



「でも…」



汗もすごいし、苦しそうだし。



「しょーちゃん、、だいじょぶだから…
オレの中、ちゃんとなってる?」



「あぁ、なってるよ…
透けてないし、、すごく 締 め て く る。
雅紀の中のすべてがわかるよ…」



少し動けば、雅紀の 中 も 即座に反応をする。
こんなに反応されたら、とてもじゃないが持たない、というぐらいだ。



「しょーちゃん…
ずっと、ずっと、離さないでね。」



「あぁ、ずっと離さないよ…」



とは、言ってみたけど複雑だった。

雅紀に目を覚まして欲しい。


けれど、雅紀が目を覚ませば、同時に“魂”の雅紀を手離すことになるんだ。


今は、、今は考えるのをやめておこう。
明日がどうなろうとも、今は、目の前の雅紀をしっかりと見ていたい。



「しょーちゃん…
また考え事してる。」



「えっ?」



「しょーちゃん…
もっと、もっと、しょーちゃんのこと 感 じ た い …。」






…つづく…
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