Daylight
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櫻葉【97】◆Daylight◆
雅紀の中に入ったまでは良かったけど、先にひとつ確認しておくべきだった。
雅紀は痛みは、わからない…。
以前、火にかけたヤカンに触れた時も、透けていったから火傷はしなかった。
それは透けていったからで…。
透けていかなかった場合、怪我をすることはあるんだろうか?
欲を吐き出せるんだから、出血することだってあるかもしれない。
「雅紀、大丈夫?」
「ふっ、、う、んっ……」
“ 行 為 ”の時の表情は苦痛と同じ、と聞いたことがある。
その苦痛にも似た感覚が、果てるという形で解放される、と。
だから、雅紀が苦しそうにしているのが痛みではないとしても、、、。
いや、痛みがわからないからこそ不安が募る。
身体を 傷 付 け てないだろうか?
俺は小さいガーゼを取って 身 体 を 起こそうとした。
出血していないかだけでも確認できれば、と思ったんだ。
でも、俺が少し動くと雅紀が力いっぱい し が み つ い て くる。
「んっ、、、はぁっっ……」
それから力を抜くように息を吐き出す。
「身 体 を 傷 付 け てないか確認したいんだけど。」
「だ、いじょぶ…」
「でも…」
汗もすごいし、苦しそうだし。
「しょーちゃん、、だいじょぶだから…
オレの中、ちゃんとなってる?」
「あぁ、なってるよ…
透けてないし、、すごく 締 め て く る。
雅紀の中のすべてがわかるよ…」
少し動けば、雅紀の 中 も 即座に反応をする。
こんなに反応されたら、とてもじゃないが持たない、というぐらいだ。
「しょーちゃん…
ずっと、ずっと、離さないでね。」
「あぁ、ずっと離さないよ…」
とは、言ってみたけど複雑だった。
雅紀に目を覚まして欲しい。
けれど、雅紀が目を覚ませば、同時に“魂”の雅紀を手離すことになるんだ。
今は、、今は考えるのをやめておこう。
明日がどうなろうとも、今は、目の前の雅紀をしっかりと見ていたい。
「しょーちゃん…
また考え事してる。」
「えっ?」
「しょーちゃん…
もっと、もっと、しょーちゃんのこと 感 じ た い …。」
…つづく…