Daylight
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櫻葉【29】◆Daylight◆
テーブルに食事の他にも、醤油、旨味調味料、七味唐辛子、マヨネーズ、ケチャップにソースと塩…色々な調味料が乗せられていく。
「これ、、なんなの?」
「美味しくなかったら、すきなのかけて?
オレ、気にしないから、我慢しないで欲しいの。」
アハハ、それで、こんなに色々、と。
けど、煮物と魚と味噌汁と漬け物…。
ケチャップはいるのだろうか?
ソースもさ?
一番感動したのは、茶碗によそった温かいご飯だった。
「いただきます…
なんか俺だけ食べるって悪ぃけど。」
「好きなもの聞くの忘れちゃってたし。
次の買い物では、しょーちゃんの好きなのも買うからね♪」
向かいに座る雅紀は、この前と同じようにテーブルに両肘を置いて頬杖をついて、身体がピコンピコンと揺れている。
きっと俺の脛に雅紀の足が突き刺さってるはずだ。
「雅紀、、すげー、旨いんだけど…」
感動しすぎて胸が詰まる。
冷血と呼ばれた自分が、食事ひとつで温かい気持ちになることが不思議だった。
「無理、、してない?」
「すんげー、うまいって!
食べてみ!って言いてぇもん!
マジ、明日からもよろしくな?」
「えっ、、、」
「ダメなの?」
「ちょっと自信ない、、、。」
「じゃ、味が薄かったら好きなのかけるし、
濃かったらお湯ぶっかけていい?」
なんとしても雅紀の料理が食べたくて。
でも料理をしない俺は、味覚のわからない雅紀へのフォローを知らない。
だから、遠慮しないで伝える選択をした。
「ひゃひゃ〜お湯ぶっかけるって…
うん、わかった。
元気になったら、もっと美味しく作るからね、オレ♪」
「俺ばっかりで悪ぃけど…
あ、それから漫画なんて読む?
今日、買ってきて、、あ、そこの袋。」
雅紀が袋の側にいって、中から雑誌を取り出す。
「あっ!これ読んでたやつだ!
ゼリーはアニーちゃんの?」
「あ、忘れてた!」
雅紀は ふふっと笑うとウォールシェルフにゼリーを乗せた。
…つづく…