Daylight
□【151】〜
1ページ/14ページ
櫻葉【151】◆Daylight◆
クリスマスイブ。
雅紀は食べられないのに『チキンを買ってこい』としつこくて。
チキンを買って帰れば……。
「しょーちゃん、服、用意したから着替えてね♪」
「え?もう行くの?」
オレの飯は?
チキンとワインと、それから雅紀を食べるのは、後回し?
「待ちきれなくなっちゃった…」
雅紀は、数日前に届いたダンボールの中身を、
ひとつひとつ手に取って、
ニコニコしながら眺めては、
スーパーの袋へと移し変えてる。
色とりどりの花火は、赤や緑や金色のキラキラした飾りがついてるものもあった。
「花火なのに、ツリーみたいだな。」
側に行って、少し手伝った。
「あっ、言えてる…
このキラキラしたとこさ?
花火終わったら部屋に飾ろうよ♪」
「よしっ!それやるかっ!
でも、クリスマスじゃなくて…
雅紀の誕生日のお祝いだからな。」
「しょーちゃん………」
「ハッピーバースデー、雅紀。」
ソファに置いてあったローブを肩から羽織らせて、
腕の中に抱き締める。
「しょーちゃんと、誕生日出来るって思わなかった…」
「雅紀の誕生日は…
この先もずっと俺と一緒なんだろ?」
コクンと頷いた雅紀は、
目元を手の甲でグイグイ拭い出す。
「泣くなよ…」
「だって、、、
嬉しいんだもん…
しょーちゃんと一緒ってだけで、嬉しいんだもん。」
それから、着替えて準備をした。
雅紀も、“魂”の格好が冬物になって、モスグリーンのダッフルコートを着ていた。
それは細身の雅紀の可愛さを際立たせ、目を奪われる。
「それ、雅紀によく似合うね…」
「これね、、今日、初めて着たんだ♪」
「初めて?」
「買って、着ないまま入院しちゃったから。」
「そっか…
じゃ、お披露目したのも俺が初めてなんだな♪」
それから、洗車用に使ってたバケツに水を張る。
雅紀が外は寒いからと、やたらと厚着をさせられたけど、
バケツを持って玄関を開ければ、もう一枚着てくれば、、と思うほど凍てついた夜。
「雪が降りそうだな…」
「オレが産まれた日も…
ものすごく雪が降ってたんだって。」
…つづく…