Daylight


□【121】〜
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櫻葉【150】◆Daylight◆





「オレからのお願いは、ちゃんとなってるんだよね?」



次にマニーちゃんが生まれ変わる時には、
オレとマニーちゃんの“魂”や“命”は、またひとつになって、生まれ変われるって聞いたから。


オレは、マニーちゃんが自分の運命を背負っていた場合、
しょーちゃんと、マニーちゃんで運命を共にして、、、。


来世こそは、、って思ってた。


だから、しょーちゃんの相手を違う誰かとって、、
“運命の操作”をしないで欲しいって。



「それは、来世に繋がるようにはしています。

相葉さん、、、猫が来世を迎えるまで、ひとりで待てますか?」



「オレ、、待つよ?
オレは大丈夫だからさ?

だから、ニノは自分の人生を選んで…」






それから、ニノが“置き土産”だと言って、
入院してるオレに、しょーちゃんが会えるように手配してくれたんだ。



「相葉さんの力が弱ってても…
直接触れ合うことで、翔さんのほうが、あなたの命を引っ張り上げてくれるかもしれないから。」



「ニノ、、無理したんじゃないの?」



「ただし、私はその日に出発します。」






そして迎えたニノと最後の夜。

オレは、しょーちゃんのところへは行かなかった。



「相葉さん、、今日は、もうひとつサプライズを持ってきました。」



病院のテーブルに置かれた白い箱は、
持ち手のあるタイプで、すぐに中身はわかったんだけど…。



「でも、、オレ…………」



箱を開くと、予想通りケーキが入っていた。
艶のある焦げ茶色のチョコレートでコーティングされている。


甘い、、、ん?
甘い、匂いがする。



「これは特別なケーキなんです。
味も匂いも、、相葉さんにもわかるように…」



「ニノ…………」



「1年以上も味わってないでしょ?
少しは生きてるということを思い出せればと。」



意識がないまま寝たきりのオレの病室には、
お皿やフォークなんてものはなかった。


だから、二人で手づかみでケーキを頬張った。


口の中は、甘くてチョコレートが溶けてるはずなのに、
オレは、胸がいっぱいで、涙ばかり出てきちゃって、
味なんてわからなかったけど、
ニノの気持ちが嬉しくて…。



「ニノ!
オレ、絶対、目を覚ますから!
だから、だからっ!
人間になったら、また会おう?

ニノはオレの友達だろ?」



「相葉さん………」



ニノの目から涙がコロンっと零れたから、
掌で掬った。

そのまま頬を包み込んで、
ニノのほっぺたにチューってしたんだ。



「あ、、相葉さん?」



「オレからの餞別。
オレ、、何も持ってないから…」



「相葉さん、必ず生きて下さい。
生きてるということを諦めないで下さい。」



ニノは、別れ間際まで『諦めないで…』と繰り返した。


わかってるよ、ニノ。


オレね、ニノのためにも…。
ニノに安心して貰うためにも、絶対に目を覚ますから。


だから、待ってて。





…つづく…
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