Absolute ruler1

□水見式
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ゴンの怪我が治ってウイングさんとの約束の2ヶ月も経ち、ウイングさんはゴンに念を使うことを許可した。

ここからゴンとキルアの本格的な念の修行が始まった。



『へぇ、ウイングさんから宿題ねぇ』

「凝≠チて言うんだって」

「あのなーゴン、コイツはオレらよりずっと前から念能力者なんだぞ?凝くらい知ってんだろ!」



溜め息吐きながら呆れたように言うキルア。

うん、キルアの言う通りなんだよねぇ…

ゴンやキルアくらいの歳の頃にはもう発も完成させてたし。



「あはは…ごめん、オレわくわくしちゃって…」

『いやいや、いいことだよゴン、2人なら早々に凝くらいならマスターしそうだし』

「マジ?」

『うん、所謂、逸材ってやつかな、2人ともね』



そう褒めてやればキルアも嬉しそうな顔をした。

嘘じゃない、本当のことだ。

2人は強くなる、間違った覚え方さえしなければ、念に対して貪欲だし、センスもある。

今はまだ原石だけど、磨けばかなり、かなーり光るだろう。



「なぁなぁ!●●●の念も見せてよ!」

「え、でもキルア、ウイングさんが念は相手に知られない方がいいって言ってたよ?」

「戦う相手だったらってことだろ?オレら●●●とはガチバトルしねぇし、オレなら仮にやろうって言われても全力で拒否るぜ??」



死にたくねーもん。

そう言って真顔でゴンを見るキルア。



『…まあ、私も2人とは戦おうって思わないけど、もし戦っても負けることはないかなー』

「そーそー、オレらが●●●より先に念を覚えててそれなりに経験積んでたらまた別の話になるかもしんねーけどさ、今じゃハッキリ言わなくたって適わねーよ」

「キルアは前から相手との力量を測るの上手いよね」

「癖だかんな、自分より上のやつと戦うなんて無理」

『ゴンもある程度分かるようになっておくといいよ、パッと見でも強い奴ってのはオーラでわかるから』



凝が出来るようになったらヒソカとかじっくり見てご覧?

そう言えば2人は嫌な顔をしたが、まあ、やるだろうなぁとは思う。



『でもまあ、念を見せるくらいならいいよ』

「マジで!?」

『私の念は知られてもデメリットあんまないし、いいよ』

「よっしゃ!言ってみるもんだなー!」



わくわくしながら私を見る2人。

【過負荷(エンチャント)】はシャーロット戦で使ったし、ヒソカも然りだけど、色んな奴に見られてるから別に今更2人に見られても何ら問題は無い。

あるとすればこれは変化系と強化系だから、2人が覚えたいと思ってこれを覚えてしまうと厄介なんだよなぁ。

ゴンは強化系、キルアは変化系だと思うし。



『ウイングさんからどう聞いてるかは知らないけど、私のを真似ようと思わないでね?』

「わかってる、あくまで参考程度にってことだろ?」

「●●●のは真似ない方がいいってウイングさんに言われたんだ、オレらにはまだ早いって」



ウイングさん、ありがとう。

師から言われたらこの2人なら守るだろう、特にゴンは1度怒られてるし。



『カストロが使ったのは分身(ダブル)と言ってね、もう2人は見たかい?』

「うん、ヒソカの戦いの録画で見た」

『あれも相当大変な技だし、2人には合わないだろうからやめときなよ?』

「わかってるって」



ついでにヒソカのも、そう言えば2人は嫌そうに絶対真似ない!と叫んだ。

どんだけ嫌われてんだヒソカ、ざまぁ。



『私の能力は【過負荷(エンチャント)】と言うの、複雑なものじゃあないから、見ればわかるって感じの念だね』

「エンチャント…魔法をかけるって意味だよな」

『おー!わかるかいキルア、そう、私は念をあまり知らんヤツとかには魔法をかけるって言葉を使って説明してるんだよ』



手に能力を発動させ、炎を纏う。



「おおお…熱くないの?」

『自分の能力で火傷してどうすんのさ』

「だよな、これって手にしか出来ねーの?」

『さすがキルア、さっきからいいとこ付くね』



褒めれば照れたようにはにかむキルア。

ゴンも真面目に見ている。



『これは私が能力を作った時に手限定にしたから手だけに現れる念なんだよ』

「なんで手限定にしたんだ?全身に纏えば迂闊に近付けねぇじゃん」

『キルア、相手が水を使ったら?』

「あー…逃げる」

『不正解』

「●●●、手以外にもエンチャントって出来るの?」



今度はゴンが鋭かった。



『出来るよ、ゴンの言う通り、私は念を発動する箇所によってエンチャントさせる属性を変えたんだよ』

「そんなこと出来んのかよ!?」

『出来るよ、私の場合手なら炎、足なら電気って具合にね』



炎を消して、足に念を発動させればバチバチと電気が走る。

2人は驚いたように目を瞬かせた。

キルアは電気に触れてさえいた。



「そんな痛くねーな、ビリッてくるぐらい」

『そりゃ、見せるだけの威力にしてるからね、本気でやったら相手丸焦げに出来るよ』

「オレも触って大丈夫?」

『やめときな、キルアは電気慣れしてるだけだから』



ゴンには静電気でも痛いだろうて。

手を伸ばしかけてたゴンは、慌てて手を引っ込めた。



『所謂、必殺技ってやつだ、2人もそのうち覚えなきゃならないけど、まずは凝を合格してきな』

「…うん、そうだね」

「だな」



若干ピリ付いたゴンとキルア。

私の念に触発されたって感じではないピリ付き方だ。

なんと言うか、イライラしてる?



『2人とも、なんかあったのかい?』

「んー、早く戦ってみたいってやつだね」

「オレも、早くヒソカと戦ってみたいって思った」



早く早くと、少しばかりの焦りが見え隠れする。

2人が言いたくないんだったら追求はしないけど…



『まあ、肩の力を抜いて気楽にやりなさいな、思い詰めてもいい方向にはいかないよ』

「…うん!」

「だな!」

『2人はセンスがある、己の力を過信するのは愚の骨頂だけど、これは誇っていいことだよ』



きっと2人なら、一週間もかけずに習得出来るだろう。

そんな予感が、私にはあった。
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