Absolute ruler1

□意図せぬ再会
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ふと、昔を思い出した。

自室のベッドで寝転がり、目を閉じる。



『クロロ…マチ…パク…ウボォー、ノブナガ…シャル、フィン、フェイ…』



あの頃一緒にいてくれた、大事な家族。

あと………オモカゲ。

運命の歯車がズレ、噛み合わなくなり、私が抜け落ちたのはいつだったか。



『……今…ヒソカと一緒にいるのは…』



誰なんだろう…

懐かしさから、知ってるメンバーだと思う。



『……誰だっていいじゃないか、私はもう…』



団員じゃ、ないのだから…

自分で言っといて辛くなるなんて、どんだけ執着してるんだか。



『…はぁ、外行こ…』



気分転換に買い物でもするか。

マリアになんか買ってあげよう、こちらのもの好きだし、今度連れてきてあげよう。

重い腰を上げ、部屋を出る。






―――――




廊下が長いと感じたのは初めてだ。

私がノロノロと歩いてるからだろうか。



「――――…う…?ヒ……うん、…えた…」

『…!』



聞こえた声にピクリと反応する。

咄嗟に相手の死角になる所に隠れ、相手を盗み見る。

廊下の角から出てきたのは、懐かしい人。



『…(マチ…?)』

「ヒソカの馬鹿には伝えたし、私もそろそろそっちに戻るよ」



誰かと電話してるみたいだ。

恐らく、団員の誰か。

息を潜め、じっ…と様子を伺う。



「あー…それから………ちょっと、誰だか知らないけど、いい加減出てきたらどうだい」

『!』



明らかに自分に向けられた殺気。

バレてたか…絶は完璧だったはずだけど、私の焦りが出てしまったのだろうか。



「団長?ごめん、ちょっと切る、中々強そうな奴に絡まれたから相手する」

『…(電話の相手は、クロロだったのか)』

「アンタ、いい加減出てきたらどうだい、そこにいるのはわかってるんだよ」



携帯をポケットにしまい、こちらに殺気を振り撒くマチ。

顔を合わせる気は無い、マチ相手なら【過負荷(エンチャント)】で逃げ切れる。

相手がフェイじゃなくてよかった、昔からフェイにはスピードで勝てなかったし。

足に【過負荷(エンチャント)】をかけ、バッとマチから逃げる。



『どこに逃げよう…』



とりあえず、天空闘技場から出よう。

テキトーな部屋に入り、窓に向かって走る。


ガシッ



『!?』

「どうしたんだい●●●、ボクの部屋に入ってくるなんて♥」

『ヒソカ!?』



マチにいっぱいいっぱいでここがヒソカの部屋だなんて気付かなかった。

ヒソカは別に絶をしていた訳じゃなかったが…



「どうしたんだい?」

『っ来い!』

「?」



どうせ離してくれないとわかっていたから、ヒソカごと窓から落ちる。



『っフェザリーヌ!!私をそっちに送れ!』

「フェザリーヌって…あの女性だよね、ここに来れるのかい?」

「はい、わかりました」

「!」



数メートル先の真下に亜空間への扉が開かれ、私とヒソカはそこに飛び込んだ。

入った瞬間にふわりと、平衡感覚がおかしくなるも、どうにか立て直しふわふわと落下スピードを落として地に降り立った。



「ここは…?」

『フェザリーヌ、助かったありがとう』

「いえいえ、大丈夫ですわ」



にこっと笑うフェザリーヌに感謝だ。

パチンッとフェザリーヌが指を鳴らせば、亜空間は部屋の形を成し、平衡感覚が戻る。

…ここは…



『……おめでとうヒソカ、思わぬ形でコチラ側に来たね』

「●●●、ここはどこだい?」

『暗黒大陸』

「………ここが?」

『ここが』



何があってもいいように、ヒソカには常に念を使っておくように指示を出し、外に出る。

外は相変わらず森林が生い茂っている。



「●●●ー!」

『!マリア!』



家に戻ればマリアが飛び込んできた。

フェザリーヌはちゃんと見つけてくれたらしい、よかったよかった。



「ほっほっ、相変わらずマリアは●●●が一番じゃな」

『ガラン…いつもありがとうね』

「なぁに、この老耄でよければいつだって力になるわい」



2階から降りてきたガランは椅子に座り、チラリとヒソカを見る。



「…婿かの?」

「そうだよ♥」

『違う、ヒソカ喋るな』



ガランの質問にヒソカはYESと答えたが、石化はしなかった。

嘘は吐いてないらしい、心臓に悪い。



「ほっほっ!●●●、好かれておるのぉ」

『まあ、それについてはそう思うけど…』

「前はノブナガという男の話しかせんかったろ」

『それ恥ずかしいからやめてくれガラン』



私は幻影旅団の中でも特にノブナガとウボォーに懐いていた。

ノブナガとウボォーは、一番に私の中に入ってきて、私の力になってくれた、親身になってくれた。

だから、雛が親に付いて回るかのように私はノブナガとウボォーにずっとついていたのだ。



『ガラン、ヒソカは嘘吐きだから、あまり質問しないでやってくれ』

「ほお、お気に入りかの?」

『…そうだよ』

「へぇ、●●●はボクのことお気に入りと思ってくれてるんだね♥」

『ヒソカ、ガランの前で本心で思ってることと逆のことと、口先だけの嘘を吐くなよ、即死するぞ』



ガランは両親から呪いという名の念を施されている。


【嘘吐き人形(ストーンネイル)】


自分自身にさえ影響するその念能力は、嘘を吐くと石になってしまう。

生きてはいるが身体は動かないし、ヒビを入れらても痛みはなく、砕かれないと死ねない。

永劫の孤独を独りで送ることになる。

除念師でもいなければ相当厄介な念だ。



「へぇ、中々強そうだから戦ってみたかったけど、ボク、まだ死にたくないからなぁ♦」

『止めとけ、ガランには勝てないよ』

「ボク、まずは団長と戦いたいから今は置いとくよ♠」
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