Absolute ruler1

□修行とナンパ
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『キルア、医者はなんだって?』

「全治4ヶ月の大怪我だとさ」

『ゴン、言いたいことは?』

「…ごめんなさい…」



ゴンは念使いの相手に対し、私との約束を破り、念を解いて修行≠した。

そのせいで全治4ヶ月の大怪我をし、一歩間違えれば死んでいたかもしれない。



『ゴン、だからあれほど纏を、念を解くなと言っただろうて』

「うん、でも…」

『でもやだっては結構、頭を冷やしな』



溜息を吐けばしゅん…とするゴン。

言わなくともそんなことしても許さないからな…


―――――――コンコン



『?誰だろ』

「やっべ…」



キルアはやっちまったって顔をした。

とりあえず扉を開けた。



『あ…』

「あれ、部屋間違えたかな…ここはゴンくんの部屋で?」

『ゴンなら奥にいますよー』



ピッと親指で奥を指す。

男性はゴンの姿を確認すると部屋に入る。



「あ…その、ごめんなさ」



パン!



『…私も一発だったら叩いて大丈夫かな?』

「止せよ●●●、ゴンが死ぬ」



ゴンの頬を叩いた男性に便乗しようと思ったが、キルアに止められた。

結構ガチ目に止められた。



「私に謝っても仕方ないでしょう!一体何を考えてんですか!!念を知らずに洗礼を受けた人達を見たでしょう!君自身ああなっていても全くおかしくなかったんですよ!!」

「あ、それ俺が言っといた」

『相手が雑魚で良かったよねーホント』



これで相手がヒソカレベルの強さだったらガチで死んでた。

独楽を操る念使いは、まだ洗練されてないゴンの纏如きでは勝てやしない。

そんなの誰から見ても明らかだったからせめて纏を解くなとあれほど言ったのにも関わらず…

"まだ戦っていたい"

それだけがゴンを動かし、念を解いた。

そして…


"絶"


ゴンが使ったのはまだ教えてないであろうソレ。

だが、絶は念に対して防御力が全く無くなり、そんなゴンが先程同様に独楽に当たれば…

腕の大怪我で済んでよかった、これが脳や脊髄に当たっていたらと考えたら…



『相手が非力でよかったねぇ?』

「……」



ジロリと責めるようにゴンを見れば、ゴンは視線を落とした。

男性はは今度は優しく、ゴンの肩に手を置いた。



「全くです…。本当にもう…」

「ウィングさん…」



ウィングさんの言葉にゴンは謝った。



『…キルアー、ゴンの怪我はいつ治るんだっけ?』

「!…全治2ヶ月って言ってた」



ゴンの回復力ならそれぐらいでいけそうだな、大丈夫だきっと。

男性はゴンの怪我が治る2ヶ月間、念の使用及び念について調べることさえも禁止した。



「今度これを守れないようであれば君に教える事はもう何もありません、どうですか?」

「わかった!ちゃんと守るよ、約束する」

「…では左手を」



ゴンの言葉にウィングさんは左手を出すようと促し、小指に糸を巻き付けた。

あれは…念糸だったか?

指定したことをしてしまうと糸が切れるという…



「キルアくんと…瞬神≠フ●●●さんですね」

『その二つ名は止めてくれ、●●●でいい』

「わかりました、私はウイングと言います、少しよろしいですか?」



ウィングさんに呼ばれ私とキルアは部屋の外へと向かった。



「君達の本当の目的は何なのですか?」

『?目的?キルア、どゆこと?』

「あー…」



ウィングさんの言葉に、私はキルアを見る。

私がいるからってことと、お金稼ぎしか頭に浮かばない。



「目的って言われてもなー」

『私は普通にお金稼ぎだけだったし』

「オレも、ズシとあんたに会わなきゃ小遣い稼ぎしに来ただけだったし」

『ゴンは修行だったっけ、でもヒソカがいること知らなかったし』



私だって知らなかった。



「最上階の…なんだっけ?」

『バトルオリンピアね、興味無いでしょ?』

「ああ…ゴンは…うん、わかんないけど」

『いや、ゴンも興味ないよ、あの子の頭にあるのは念とヒソカを殴るってことぐらいだよ』

「だよな、あいつの昨日の顔…スリルを楽しんでるみたいだったからさ」



沢山の独楽を避けるゴンは楽しそうだった。

命を落としかねない、あの状況をだ。

私があっちの大陸であんなことしたら即死確定だからやらないけど、そのスリルを楽しむってことはわからなくない。



「命さえ落としかねなかったあの状況を楽しんでいた…と?」

「ああ。俺もそゆとこないわけじゃないからわかるんだけどさ」

『ゴンにとってあの試合は、命をかけるに申し分ない試合だったってだけなんだよな』



まあ、本人は反省してるし、もう咎めないけどね。

そう言えばウイングさんは難しそうな顔をした。

これは念を教えて本当によかったのか、そう考えてるんだろうなぁ。



「もう遅いよ」

「!」

「もう知っちゃったんだから。俺もゴンも」



遅かれ早かれ念にはたどり着くことになっていたと話すキルア。

まあ、キルアは家にいたらイルミやシルバに確実に教わっていただろう。



『私は教えるの下手だからね、ウイングさんが2人に付いててくれれば安心だよ』

「…●●●さん、貴女は…」

『?』

「…いえ、なんでもありません」



なんだったんだ…?

ウイングさんはキルアに、ズシと一緒に修行するといいと話したが、キルア抜け駆けみたいで嫌だからと断った。



『…あ、そう言えばキルア、私明日試合なんだよね』

「はあ!?早く言えよ!!」

『いやー、すっかり忘れてたわ、すまんて』

「はー…ったくよー…」



ボリボリと頭を搔くキルアは、興味はあれど見に行くとは言わなかった。

ゴンと一緒にスタートしたい、キルアはそう考えていたのだ。



『でもまあ、私は明日使うとしても纏以上のことはしないからさ』

「あーはいはい、わぁったよ」

『殺気は振り撒くかもしれないけど』

「そっちのが怖ぇよ!!!」



キルア曰く、イルミやヒソカの念での牽制よりも私の純粋な殺気の方が怖いらしい。

悲しい…



『キルア、ゴンを見張っててね、とりあえず腕の骨がくっ付くまでは不要な外出も禁止ってことで』

「はいはい」

「ゴンくんに燃える方の「燃」の修行なら認めると言って下さい!「点」を毎日行うように!と」



ウイングさんはそれだけ伝えて帰っていった。

私は昼食を取るため、キルアとは別れ、闘技場から出ていった。
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