Absolute ruler1
□半径2mの攻略法
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ヒソカとトリックタワーを攻略し始めて2時間、特にこれといった仕掛けもなく、サクサクと進んでいく。
半径2m以内にいなければいけないのに、どうも緩い、否、緩すぎる。
大抵こういう2人での攻略は難所が多いと思われる、なのに今の今までトラップさえ発動していない。
嬉しいやら拍子抜けやらで、なんともまあ難しい顔をしてしまった。
「●●●、どうしたんだい?」
『え?何が』
「眉間にシワよってるよ♠」
『暇』
「わからなくはないかな♣︎」
ただでさえ暇だと嘆いていたのに、トリックタワーと呼ばれるタワーですら暇だなんて…
せめてトラップの一つや二つくらい発動してくれてもいいのだが。
『この際壁を触ってでも無理にトラップを見つけたい』
「壁に毒塗ってあったら死ぬよ♢」
『毒くらいじゃ死なない身体してるから大丈夫』
「まるでイルミみたいだね♣︎」
まあ、異母兄妹だしな。
向こうは私が妹だとは知らないだろうけど。
「毒に抗体でも持ってるのかい?だとしても得体の知れない毒を触ろうとだなんて正気の沙汰じゃないけど♡」
『塗ってあるとは限らないけど…まあ、死にやしないだろ』
こっちで使われる毒なんて、たかが知れてるしね。
どうせならあちら側の毒を使えば…うん、使ったらみんな死ぬわ。
笑えないくらいヤバいのしかないし。
『ん〜、毒も塗ってないしトラップもない、つまらない』
「そろそろ何かはあるとは思うんだけどねぇ♢」
『例えば』
「そうだなぁ…♡」
じぃっと一つの場所を見つめるヒソカ。
その場所には人の気配がずっと留まっている。
『受験生が立ち往生させられてんじゃないの』
「そうかい?ボクはそう思わないけど♢」
『じゃあ行ってみる?』
「そうだね♡」
って言っても、ヒソカなら私に何も言わずに勝手に行ってたと思うけど。
離れられないから必然的に私も行かなきゃならんし。
ガコンッ
隠し扉のような扉を開くと、トガリがいた。
『あれ、トガリ、久し振りね』
「●●●か、やっと試験を受ける気になったのか」
『ほら、ジンの息子が受けてんだよ』
「ああ…アイツ息子いたんだったな」
妙に殺気立つトガリ。
ヒソカがいるからなんだが…
『…もしかしなくとも、私邪魔?』
「邪魔ってわけじゃねぇが…俺はヒソカ、テメェを待っていた」
「ふぅん?」
トガリは去年のハンター試験でヒソカに半殺しにされた件で復讐に燃え、己を鍛えてきたと語った。
確かトガリは無限二刀流…って小刀使いだったな。
『トガリ、私今ヒソカと離れられないんだよ』
「ああ、それなら大丈夫だ、この部屋だけは2m以上離れてもバイブは鳴らないようにしてある」
『マジか』
試しにヒソカから距離を取ってみる。
1m、2m…
『おお…じゃあ私離れて見学してるわ』
「悪いな●●●、俺がヒソカを殺しちまったらお前まで不合格だ」
『えー、せっかく受けに来たのに〜』
トガリがヒソカを…ねぇ。
ヒソカとの実力差をトガリはわかっていない。
勝負なら一瞬で付くだろう。
『まっ、すぐ終わらせてくれよ?』
「!…♡」
「ああ、すぐに終わらせてやる!」
私の言葉の真意を受け取ったのは…ヒソカだった。