Absolute ruler1
□卵
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「わりぃ!腹いっぱいになっちった!」
その台詞で今までにないくらいその場の空気が悪くなった。
合格者は、一人だけである。
『うわぁ…どうするよこの空気…』
「●●●、ネテロ会長に連絡入れてくれたんだよね?」
『一応ね、誰も納得しないデショ』
メンチのイライラはどっかのハゲとヒソカのせいで治まらない。
ブハラとあれ程キレるなと言ったのに…
「二次試験後半の料理審査、合格者は1人よ!」
「え?1人?」
「合格者がいるのか?」
『うわ…そこは言わなくていいのに…』
メンチが余計に空気が悪くなるような事を言うからザワついた。
しかし、その時である。
ドゴォォンッ!!!
横にデカイ男が、台所を叩き潰していた。
「納得いかねぇな、とてもハイそうですかと帰る気にはならねぇな」
ごもっともである。
誰かしらこの結果にメンチにキレるとは思ったけど…
はぁ、どうすんべなぁ、じぃさんくるまでどうにかしないと…
「俺が目指してるのはコックでもグルメでもねぇ!ハンターだ!しかも賞金首ハンター志望だぜ!美食ハンターごときに合否を決められたくねーな!!」
…よくもまあ、取るに足らない実力でメンチに啖呵切れたもんだ。
どっからどう見ても、メンチの方が実力は上だ。
念云々以前の問題。
しかしながら今回に限ってはメンチも悪い。
「それは残念だったわね、今回のテストでは試験官運がなかったってことよ、また来年頑張ればー?」
『はぁ、メンチさぁ、今回ばかりは私庇えないからね?』
「え?何よ」
何よって…はぁ、メンチのイライラはいつになったら治まるんだ…
『じぃさん呼んどいた、メンチのことだからキレて試験どころじゃなくなると思って』
「えー!!なんでよ!!!」
『言い訳はじぃさんにしてくれ』
「うぐ…わかったわよ…」
じぃさんの名前出した時だけ大人しくなるな。
いつもそのくらいしおらしくしてくれたらいいのに…
「待てよ」
うわぁ…もうやめてくれよ…
何だってハンター試験は面倒な一癖も二癖もある奴が集まるんだ。
「テメェは何なんだ?一次の時から妙に試験官と仲がいいが…」
『知り合いなので』
「知り合いだァ!?」
そうですが、何か問題でも?
「おかしいと思わねぇか、試験官全員と知り合いだと?」
『試験官まだ3人しか出てきてないじゃないか…』
「二次試験合格者もテメェだろ、依怙贔屓[えこひいき]されてんじゃねぇのか!?」
『…なるほど、お前は私に喧嘩売ってるネ?』
試験官は誰であろうと対等に合否を決めている。
親友だろうが家族だろうが贔屓されて合格になることはまずない。
誇り高いハンターが、そんな小さいことをする訳がないだろう。
『いいだろう、メンチを庇いはしないが、私がお前の相手となってやろう』
「んだと…」
『私に勝てると思うなら、好きに攻撃するがいいさ、ただし…お前が私に触れた瞬間、私はここにいる全員を皆殺しにしてやろう』
殺気を抑えずにそう言い残してニタリと笑う。
先程まで偉く威勢が良かったやつも、その殺気にビビって顔を青くさせていた。
…ヒソカだけはニヤニヤしていたが…
『どうした?来るがいい』
「こ、の野郎ォォォッ」
『ついでに私は野郎じゃないから』
殴りかかってくる…知らんヤツ。
さて、とりあえず近くにいる奴らは全員ぶっ殺す。
…あれ?ココレ、ヒソカがやったって言う試験官ごっこと同じ事じゃね?
うわぁ、なんか嫌だなぁ。
じぃさんには、まあ、テキトーに説明しとこうかねぇ。