シミュレーテッドリアリティ 1
□この作品の主人公
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ミンミンと蝉が鳴き、ジリジリと強い日差しが照りつける。
我らが泥門高校も夏休みに入った。
夏休み前にヒル魔が連絡したらすぐに来いと言い、メアドを勝手に登録された。
今のところ、ケータイは鳴らない。
ピリリリリリッ
『………もうフラグは立てない…』
ケータイを見ればメールが1件。
着メロ、買った当初から変えてなかったから電話かと思った。
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From.ヒル魔
件名:下のモン買ってこい。
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『……人をパシリに使うなや…』
いやでもまあ……丁度買い物に行かないといけないからついでに買ってきてやるか…
ここ数日、ずっと家に引きこもっていた。
理由はただ暑いから。
実にしょうもないことだった。
『ふぁあ……一週間は外出なくていいように買い貯めよ…』
暑いの嫌い。
かと言って寒いのも嫌いである。
___in 泥門商店街
賑わう商店街にやってきたはいいものの…
さて、どこから回るか。
「●●さん?」
『ん?』
「こっちこっちー!」
声のする方へ顔を向ければ、まもりちゃんがいた。
その後には、あの男の子。
『主人公くんか……』
オドオドしながらこちらを見る小早川セナくん。
まもりちゃんと買い物だろうか。
『やあ、奇遇だね』
「ホント!●●さんは買い物?」
『まあ、お使いと自炊してるから、食材をな』
「そうなの、あっ、この子は幼馴染の……ほら、セナ?挨拶」
少し離れた所に立っていたセナくんは、まもりちゃんに言われて焦ったように近付いて来た。
「あああ、あの、はじめまして…小早川セナです」
『ああ、私は●●〇〇、姉崎さんとは同級生なんだ、よろしく』
すっと手を出せばぎこちなくにぎってくれた。
照れたように顔を赤くさせてるから、全く女慣れしてないのだろう。
この謙虚さを阿含に見習わせたいね、阿含が謙虚になったら槍が降ってきそうだけど。
「セナは来年泥門に受験するの、もしかしたら後輩になるかもね」
『へぇ、受験生ね』
「あ、あんまり自信はないんですが…もし…もし受かったら、よろしくお願いします」
『……前向きに考えなさい、人の発する言葉には力が宿る』
ふわっと手触りのいいセナくんの頭を撫でる。
『君なら絶対大丈夫』
「………」
ポカンとするセナくんに笑いかけ、まもりちゃんにも笑う。
『待ってるよ後輩くん』
「は、はい……」
『じゃあ私は行くから、またね』
「うん!またね」
2人と別れ、まずは食品を買うためスーパーに寄り、一旦家に戻って荷物を置く。
その後にヒル魔の使いで必要なものを買って泥門高校へと向かった。