シミュレーテッドリアリティ 1

□麻雀と運極
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「へぇ、結構集まってるねー」

「女の子も、いるね」



麻雀イベントが行われるブースに足を運んだ私たちは、意外にも大勢の人がいた事に驚いた。

それも、何方かと言えば、若い世代が多い。



「〇〇、参加すんでしょ?見せてよ、その腕前ってやつをさ」

『いや、趣味ってだけでそこまで強いって訳じゃないぞ?』

「とか言って、容赦無く相手を叩きのめす〇〇がいたのだった…」

『ナレーション風って…まあ、麻雀で使うのは頭と運だよな』



運も実力のうちだと笑う魅音。

確かにそうだとは思うけど、と苦笑いを零す。


イベントの司会が少し話をして、一般参加者同士での麻雀が始まる。

好きな席についていいそうで、場所によって初心者から中級、上級者と分かれているらしい。



「〇〇ちゃんはどこの席に行くの?」

『ああ、私が初心者の相手をする訳にいかないから、あっち行ってる』

「いきなり上級者とか、スゲェな」

『2人は?』

「「見学」」

『りょーかい』



上級者の方へ歩き、空いてる席に座る。

魅音と千裕は私から少し離れて見ているらしい。



「お!お嬢ちゃん上級者かい?こりゃ面白そうだな!!」

『………』

「若いな、まだ高校生か?」



嫌な視線だなぁ、これは。

舐めてかかられるのは別に普段もあったことだから別にいいけど。

だからと言って不快でない訳ではない。



「よっし!では手加減をしてやろう!」

『そうですか…』

「初級に行くなら今だぜお嬢ちゃん!ガハハハ!!」

『手加減とは嬉しいですわ、負けた時の言い訳が出来ましたね』



フッ…と嘲笑する。



「なっ…!舐めてんのか!?」

『見た目だけで判断されたので、どんな愚鈍者かと思いまして』



顔を真っ赤にさせた大男が正面に座る。

ついでにその下っ端らしき人物が私の左隣に座った。


あと1人座ったら開始出来るんだが…



「ほっほ、面白いお嬢さんだのぅ」

『!ネテロ会長…?…って、この声…!』



パッと声のした方を見れば、ご老人。

それから………



『……わぁお…』

「残る席は儂が座ってもよいかの?」

「おう、構わねーぜ」



仙洞田寿人、神龍寺ナーガの監督。

その人が立っていた。

ついでに隣には…



「雲水、お主はどうするかの?」

「え、いや俺は待ってます」

「ほっほっほ、そうかの」

『……金剛とのエンカウント率の高さよ…』

「え?」



キョトンとこちらを見てくる金剛雲水。



「〇〇〜、頑張ってなー!」

「〇〇ちゃん、応援してるね!」

『はいよ』



雲水さんは何か話しかけたかったみたいだが、麻雀が始まってしまったので黙った。

普通に話しかけてくれてもよかったが…



「んじゃサイコロ振るぜ」

「東一局だな」

『…ん?』



配られた牌を見て首を傾げる。


この牌、ほぼもう揃ってる…運が良かったのか?

しかしこの配牌…出現率的に考えると少し低いんだがな…


パチンパチンと牌を引いては捨てていく。



「お嬢さんは儂の後ろにいる雲水を知っておるのかの?」

『え?』

「金剛とのエンカウント率の高さよ、と言っておったからの」

『ああ、それは…あ、リーチ』



牌を横置きにして天牌する牌を待つ。



「雲水、知り合いかの?」

「いえ…すまない、どこかでお会いしたか?」

『いや、君とは会ってないよ』

「俺とは……もしかして、阿含か?」

『いっえーす、あ、はいロン!!』



向かいの男が捨てた牌でロン上がり。



『一発、四暗刻で役満な』

「なんだと!?」

『手加減、ありがとうございます』



ニコッと笑えば酷く顔を歪ませる男。



「親じゃから、全支払いじゃのー」

「〇〇、今のって凄いの?すーあんこう…だっけ?」

『このあがり自体は珍しくないね、四暗刻ってのは4つの面子を全部暗刻、自分の手持ちの牌だけで揃えてあがる役なんだけど…まっ、この手で上がれりゃ役満つってめっちゃ得点貰えるって覚えておけばいいかね』

「四暗刻は出現率で言うたら0.05%じゃがのぅ?」

「「「0.05%!?」」」



出現率で見たらそりゃ低いかも知れないけど、そうでもないんだよなぁ。

揃えられる奴はすぐ揃えるし。



『別に珍しくない、四暗刻ぐらい引けるのはいつもの事だから』

「そうなんだ…難しいのって、例えばどんなのがあるの?」

『…私的には、国士無双、天和、四槓子の3つかねぇ』

「こくしむそう、てんほー、すーかんつ…」

「難しい名前だね」

「難易度は先程の四暗刻よりも遥かに上じゃよ」



ダブリー()やローカルルールとか入れるともっと子難しくなるけど、そこまでは説明しなくてもいいか…



「私国士無双見てみたい!名前がカッコイイ!!」

「魅音ちゃん、〇〇ちゃんが難しいって言ってたんだから、簡単には出来ないんだよ…」

「ちなみにその国士無双の出現率は!?四暗刻が0.05%だから……0.005%とか!?」



目をキラキラさせて問うてくる魅音。

麻雀に興味を持ってくれるのは有難いし打てるようになってくれると遊べるから嬉しいんだけど…



『………国士無双は0.043%』

「ありゃ、そんな高くないね」

『魅音も打てるようになるとわかるよ、国士無双なんて人生で片手で足りる位でしか上がれない役になるだろうからね…魅音が打つならね』

「………そんな難しい?」



難しいって言ってるじゃないか…



「おい、次始めんぞ」

「次こそは…」
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