シミュレーテッドリアリティ 1
□風紀委員
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「待ってったら!」
『うんうん、ごめんねー、私ちと急いでるからー』
「もうっ!指定制服の着用しないとダメよ!!」
【速報】俺氏、まもりちゃんに追いかけ回されてるナウ。
『だから、私は校長の許可は取ってるって』
「でもルールよ、みんなが守ってるんだからあなたにも守って欲しいのよ」
困ったように、小さい子に言い聞かせるようにそう言うまもりちゃん。
これはセナくんに言い聞かせるような感じで身に付いたものなんだろうなぁ。
『うーん、姉崎さん』
「う、うん」
『日本くらいなんだよねぇ、制服なんてものを指定してんのって』
「え?」
いや、正確には日本以外にも制服を指定してるとこはあるんだろうけども。
『世界一学力が高い国フィンランド、そこじゃあ生徒が集中して勉強が出来ることが何より大切だって言って寝ながらだって勉強OKなんだぜ?』
「そ、それとこれとは別です!」
『服装と勉学は別物だろ?』
「でも校則だもの…守らないと」
ふぅむ…どう論破するか…
と言っても私的に似合わないからっていう下らん理由以外の何者でもないからなぁ、指定制服着たくないのは。
「とにかく、制服はちゃんと着るべきよ」
『……あ、んじゃあヒル魔くんのピアス取って貰ってから言ってくれよ、アレだって校則違反だろ?』
「それは…!そう、だけど……」
『言っても守ってくれないからとか言うなら私だって言われたとこで守らないぜ?1人だけ優遇されてるなんておかしな話だろ?』
「っ子供っぽい理由付けないで、みんなを困らせないで!」
まもりちゃん、おかんむりです。
『誰が困ってる?』
「私が!」
『なんで?』
「それは…風紀委員だもの…」
なんとも…便利な言葉ですね。
さて、どうしようかな。
あまりまもりちゃんを困らせたいって訳でもないし、喧嘩したいという訳でもないんだよなぁ。
『まあまあ、話は戻るけど私はちゃんと校長の許可は取ってあるんだって』
「例えそうだとしても、みんなが守ってるルールをあなたにも守って欲しいのよ」
『みんなが守ってる…ねぇ…』
意外と守ってない人の方が多いんだけどなぁ、校則って。
「そもそも、どうして指定制服着たくないの?」
『フッ……似合わないからだ』
「……え?」
ポカンとするまもりちゃん可愛い。
『緑の制服!圧倒的似合ようもない』
「そ、そんな理由で!?」
『他に何があるのか!』
「堂々と言うことじゃないわ!」
ぐう正論。
だが他に理由を付けろと言われたところでって話。
「はぁ……どうすれば着てくれるの?」
『そもそも指定制服をまだ買えてないんだ、ほら、引っ越してきたばっかだし(嘘)』
「ええ!?ちょっと、それを早く言ってよ!!」
無意味に怒鳴っちゃったじゃない!とわたわたとするまもりちゃん。
美味しいです。ごちそうさま。
「ごめんなさい、ちゃんと理由を聞けばよかったわ」
『いやいや、こっちこそ、君が可愛くてつい意地悪を…』
「か、かわ…!?」
ポンっと顔を赤くするまもりちゃん。
襲っていいですか、いいですよね、答えは聞いてないけど。
さすがはアイシールド21の正ヒロイン、とても可愛い。
「そ、そう言えばまだ名前言ってなかった…のに、どうして私のことを?」
『え?あー…』
確かに、普通に姉崎さんて呼んじゃってたな、まもりちゃんって言わなかっただけよしとしようか。
『いや、クラスメイトが言ってたからさ、風紀委員に制服のこと言われるとかなんとか』
「そう…私は姉崎まもり、同じ1年生よ」
『ん、●● 〇〇、よろしく』
きゅっと握手をする。
うん、握手ってのはこうするもんだよねぇ。