シミュレーテッドリアリティ 1
□部活勧誘
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『………さて、部活動か…』
この高校は変に文武両道らしく、委員会や生徒会に入ってない生徒は部活動に入らねばならないらしい。
全くもって面倒である。
『てか、文化部少ないし…』
運動部はなるべく入りたくない。
原作突入した時に見れないのは原作沿い派としてショックだ。
幽霊部員でもいいって言う部活動ないだろうか…
「〇〇〜!」
『魅音?』
「部活動見て回るんだろ?私のとこ来なよ!」
弓道着を着た魅音に話しかけられた。
そう言えば魅音は弓道部だって言ってたなぁ。
運動部は入りたくないが…まあ、見るだけ見てみようか、折角誘ってくれたんだし。
「大会近いから、あんま話せないかも知んないけどさ、ウチの弓道部そこそこ強いから見てて楽しいと思うよ!」
『……邪魔にならないとこで静かにしてるわ』
「他の部活見に行く時は別に声掛けなくていいから!私達集中すると話し声聞こえないからさー」
それはそれは、とんでもない集中力だこと。
魅音と喋りながら(ほぼ喋ってたのは魅音だけど)、弓道場まで歩く。
「〇〇って部活は何してたの?」
『色々転々としてたから、あんま部活っていう部活やってないんだよなぁ…』
「あー、そっか、じゃあ何やりたい?」
文化部行きたいです。
『幽霊部員でもいいってとこがいいかな、正直…またいつ引っ越すかわからないし…』
「……それ楽しいか?」
『全く』
「折角の高校生活なんだしさ、やりたい!って部活選んどきなよ、後々後悔しないようにさ」
1回目の高校生でやりたいことはやったからなぁ。
2回目の高校生、どうしても原作を見逃したくない。
『そうだよなぁ…』
「うんうん!」
『色々見てみるよ、ありがとう魅音』
「どいたまー」
学級委員ってもっとこう…お堅い人間がやるもんだと思ってたけど…魅音みたいな子がやると意外とクラスがまとまりそうだよなぁ。
クラスの中心人物的な、そんな感じ。
変にお堅いと、周りと噛み合わなくてクラスにグループ出来ちゃうし反感も買いそうだし。
「おっ、やってるやってる」
『結構広いんだな』
「まあね!」
にっと笑って案内してくれる魅音。
弓道部の先輩?にも見学の許可を取ってくれた。
「んじゃ、そこで見ててねー」
『ありがとう』
「部活は他にもあるし、興味が他にあったら行っていいからね!」
『おー』
魅音、なんていい子なんだろ…
胸当てを付け、弓弽[ゆがけ]を手に嵌めて、真剣な眼差しで的を見る魅音。
全ての動作に無駄がなく、思わず見蕩れた。
弓を構え、矢が的を射貫く。
『おおお…』
弓道はあまりわからないが、的に矢を当てるのは相当難しいことはわかる。
魅音は見事に的に当てていた。
凄い。
感想はそれだけだったが、人間本当に凄いと思うものを見ると、凄いとしか出てこないのだなぁと、思った。
「やっぱ黒葛は凄いですよね、中学時代都大会で優勝は伊達じゃないって感じ」
「だよなぁ、3年の俺らよか上手いもんな…」
………魅音、君、パネェなオイ。
どんなハイスペック女子だよ、なんでそんな実力あるのに泥門にいるんだよ。
「今度の大会、黒葛の中学の奴ら全員出てんだろ?」
「今年の1年どうなってんだよなぁ、ホント」
「俺らの頑張りってなんだろなー」
…ないわ。
魅音には悪いけど、向上心のない部活なんて見ててつまらない。
『闘志なき者に、勝利はありえない。ポール・ベア・ブライアント=x
興味失くした、他行こう。