シミュレーテッドリアリティ 1

□偶然という名の必然
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「えー、本日より我が校に転入してきた●● 〇〇さんだ、みんな仲良くするように」

『●● 〇〇です、よろしくお願いします』



人生2度目の高校生活が今幕を開けた。

クラスメイトの視線がこんなにも辛いと思ったのは生まれて初めてだよホント…



「●●さんの席は…そこの、空いてる席だ」

『は……い…?』

「どうかしたかね?」

『……いえ、何も…』



あっれー、おっかしーなー。

私の席の隣にいるのあのお隣さんじゃねー??

待ってくれヒル魔妖一が1年生?

じゃあ私が来た時間軸は原作開始の約一年前ってことか!?


教員に怪しまれつつ、私は空いてる席に着く。



「あん?お前……」

『…どうも』



この時、クラスメイト全員が私に同情したと、後々知った。

ヒル魔妖一の隣の席であること。

それに転入間も無くヒル魔妖一に目を付けられたであろうことを。



「………」

『……何か?』

「ふん、なんでもねーよ」

『はあ……』



何でもないならこっち見んのやめてくれ。

そう切実に願ってもガン見してくるヒル魔妖一。

自称神よ、お前は私に何をさせたいんだ…。



「………お前」

『?』

「…いや、なんでもねぇ」

『えー…』



何なんやねん!!


ヒル魔妖一から目を外し、前を向く。

担任の先生はいつの間にかいなくなっていて、しかも1時間目はいきなり自習。

大丈夫かこの学校。



「やっほ!転入生!」

『?』

「えへへ、私黒葛魅音!このクラスの学級委員なんだ、よろしくね!」



活発そうな女の子が話しかけてくれた。

黒葛魅音か…そう言えばモブキャラにだって名前はあるよなぁと、しみじみ思った。



「分からないこととかあったら頼ってね!」

『ありがとう』

「〇〇ちゃんって呼んでいい?私の事は魅音って呼んでくれて構わないからさ!!」

『ん、よろしくね、魅音、私も呼び捨てで構わないよ』

「ありがと!!」



ニカッと笑う魅音は可愛い。



「〇〇はどこから転校してきたの?」

『あー、一応九州の方なんだけど…』

「一応ってwww」

『転校ばかりしてたから、九州から来ましたーって感じじゃないんだよね正直』



という設定。

なんともまあ有りがちな設定ですこと。



「へー、〇〇って素で喋るとどんな感じなの?今はなんか遠慮してんでしょ?」

『……結構口悪いよ?』

「いいっていいって!口の悪い奴なんていっぱいいるしな!ヒル魔とか!」

「なんで俺を引き合いに出すんだよ糞[ファッキン]眼鏡」

「ほらな?」



ほらなって……いやいや、なんだこれ…え?魅音ってヒル魔に逆らえるの?

まもりちゃん的なポジション確立してんの?

マジで??



「コイツはヒル魔妖一、まあ、見ての通り不良一歩手前の無秩序野郎だ」

「黙れ糞眼鏡」

「……根は良い奴なんだ、仲良くしてやってくれ」



……仲が良いのやら悪いのやら…



『えっと、素で話していいんだよね…?』

「うん!その方が嬉しいかな!!」

『じゃあ、甘えさせてもらおうかな』



私の口調は、あの子の真似してたら染み付いてしまったものなんだけどね…

職場でもポロっと出てしまうから、そろそろ直さないとなぁとは思ってたんだが…まあ、いいか。

高校生だし。



「………」

「………」

『…?なんだい?』

「いや、素で喋るとどうなるのかなって」

『方言は出ないぞ?地方出身じゃねぇし』

「じゃねぇし!?」



魅音は目を丸くして驚いていた。


やっぱり変だろうか?



「〇〇って男っぽい感じなの?見た目はthe女の子なのに」

『見た目と口調は関係ねぇと思うんだが…』

「そーだけどさ、なんか…うん、まあいっか!〇〇は〇〇だもんな!!」



割り切ってくれると有難いね。
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