Absolute ruler1

□天空闘技場
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ーーーin 天空闘技場


飛行船に乗って来たるは通称【野蛮人の聖地】天空闘技場。

昔から変わらない、警察なんているはずもない無法地帯。

自身の腕に自信のある者、強者のみが生き残ることが出来るという…

…が。



『さて、ちょっくら190階まで行くか』



そんなもの、この娘には全く関係ない。

ぐっと背伸びをし、エントリー列に並び、順番を待つ。

時たま変な輩に絡まれそうになるが、殺気を帯びた目を向ければ一目散に散っていった。

情けないと思いつつ、ふと辺りを見渡す。



『…?(なんか、視線を感じる…)』



どこかで感じたことのあるような目線。

頭のてっぺんからつま先まで、舐め回すようなその視線に、悪寒を覚える。



『ん〜…なんだろ…』



どこかで感じたような…でもどこだったかあまり思い出せない…



「●●●♥」

『…?』

「久しぶりだね♦」



いきなり謎のイケメンに話しかけられた。

記憶にないが、向こうはこちらの名前を知っている…

不審に思った私はとりあえずその男を殴り飛ばした←



「ぐふっ…いいパンチだ…♥」

『あ、すいませーん、ここに変態がいまーす』

「何言ってるんだい●●●、僕だよ僕♣︎」

『………え』



よくよく聞けば聞いたことある声。



『ひ、ひそか…?』

「うん♥」

『うわめっちゃカッコイイなお前』

「…う、うん、ありがと…♥」



思ったことを素直に口にすれば、ヒソカはポカンとした後、照れたように視線を彷徨わせた。

メイクしないで髪を下ろすとこんなイケメンになるとは思わなかった。

そう言ってじーっとヒソカの顔を見続ける。



『ケフカも素顔見せてくれないからさー、イケメンとはわかってたけど、これほどまでとはねー』

「…兄さんを持ち出されると複雑なんだけど…♠」

『兄弟揃って変な格好を止めればモテるのに、勿体無いねぇ』

「僕はあの格好でもモテるよ♣︎」

『ケフカはまず人が寄ってこないから』



2人ともメイクしてても黙ってればいいのに喋ると残念だよなぁと、貶す●●●。



「ところで●●●、天空闘技場にはどうして?」

『金稼ぎ、ギルドで共有してる金に手を出すと怒られるからさぁ…あ、私は怒られたことないんだけどね、んで金稼ぎで効率いいのここぐらいでしょ?だから来た』

「そ、ギルドねぇ…♠」

『私は稼いだお金はほぼギルドに入れちゃうからさ、言えば引き出してくれると思うけど』



ガランはケチである。

それがギルド内で出てるちょっとした問題。

私的にはガランに管理してもらえるととても助かってるから、私以外のメンバーから出てる苦情だ。

ガランは自分が不必要だと思えば金は一切出さない。

それが嫌だとメンバーは言うのだが…



『お金管理してくれてるガランって人以外は金遣いが荒いからねぇ…フェザリーヌはああ見えてギャンブル大好きだから』

「あの杖持った女性だね♦」

『男なんだけどね』

「………!?!?」



別に言っても問題ないだろう。



『フェザリーヌは元々男だよ、色々やって今女だけど』

「へ、へぇ…♠」

『フェザリーヌの趣味は関係を持った男にそれをバラすこと、それを知った男の絶望した顔が好きなんだとさ』

「…いい趣味してるね…♣︎」



ヒソカがドン引きする趣味である。

考えるだけでもこちらまで絶望するだろう、男なら尚更。

絶世の美女だと思ってたのに実はオカマでした…なんて。



『話変わるけど、ヒソカは何をしにここに?』

「ボクはここの200階層の1人なんだよ♦」

『なるほど、住んでるのか』

「仮宿の一つとしてね♥もう少ししたら離れるけど♦」

『あー…』



離れるのか、少し楽しめるかなと思ったんだけどなぁ…



『ちと残念、戦えると思った』

「ボクと戦いたい?」

『多少ね、ヒソカ強いから楽しめると思ったから』

「でも●●●、200階に来る気ないんだろ?」

『今はね』



200階に行ったらファイトマネー貰えないから、190階を行ったり来たりしようと考えてる。

そうすればいつの間にかお金も貯まってるだろうし。



『あ、そう言えばね…』

「?」

『ゴンたち、ここに来るかもしれないよ』

「!…そう…それはいいこと聞いたなぁ…♥」



ゴンには私の行き先教えといたし、お金にも困るはずだからここに来るであろう。

ついでに念も少しずつ教えていきたいところだ。

先生をやる訳では無いけど。

教えるの下手なの分かってるし。



『ヒソカさ、ゴンに念教えてくんない?私教えるの下手だから』

「ん〜…いいけど…♣︎」

『けど?』

「ここにさ、1人教えるの上手な人いるんだよね♦その人に任せた方がいいんじゃないかなぁ♥」

『へぇ、そんな人いるのか、頼めば教えてくれるかねぇ』

「ゴンたちと年の近い子を教えてるのを見たことがあるよ♣︎」



それにたぶん…と呟いたヒソカは、視線を少しずらした。

気になってそちらを見れば、男性が1人、シャツがズボンから出てる、眼鏡をかけた男性。

見たところ念は使えるみたいだ。



「裏試験の試験官だと思うからね♥」

『あー、そう言えばそんなのあるって聞いたことあるな』



なんでそのことをヒソカが知っているのかはまあどうでもいいが、ハンター試験には裏試験なるものがある、というのは聞いたことがある。

その人に認められて初めてハンターを名乗れると言っても過言ではない程に。



『…ま、いずれ辿り着けそうだし、私は黙って見守ろうかねぇ』

「ゴンたちが確実にここに来るとなれば、彼が教えてくれるよ♦裏試験の試験官はここには彼しかいないからね♠」

『よくご存知で』

「見たらわかるよ、ここにはわざわざ念を教えるような親切な人間は稀だからね♣︎」

『ご最も』



クスクスと笑うヒソカはデートでもしない?と誘ってきたが断った。

今はとりあえず190階層まで駆け足だ。
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