シミュレーテッドリアリティ 1

□お隣さん
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___in 家


『ふぅ…』



思ったよりも色々買ってしまった。

ないよりはいいと思うが…まあ、いいか。



『………さて…と…』



面倒くさいが、一応挨拶くらいちゃんとしておこう、面倒くさいが。

タオルセットの袋を片手に家を出る。



『居なかったら…まあ、また明日でいいか…』



ピンポーン…ピンポーン…


チャイムを鳴らして少し待つ。

物音は聞こえない。



『……いない、か?』



別に居ないなら居ないでいいか。

くるりと方向転換して家に戻ろうとした……ら。



「ウチになんか用か」

『!』



パッと振り返れば目に飛び込んできたのは、キラキラ光る金髪。

それから尖った耳。


……尖った耳……?



『え……あ……』



まさかまさかのヒル魔妖一。

お隣さんてコイツかよ!!明らかに人選ミスだろ!明らかに!!!



『……すみません…お隣に引っ越してきた者です…』

「…んで?」

『いえ……ただの挨拶なので…あ、これよろしければ…』

「なんだそれ」



怪訝そうな顔をするヒル魔妖一。

うわぁお…私今、あのアイシールド21に出てくる、あ!の!ヒル魔妖一と喋ってるよ…

ロンブーの敦だぞ…すっげぇ…



『ただのタオルとかなんですが…』

「フーン…ま、貰っといてやる」



上から目線テラワロス。

めだかボックス的に言うなれば、こいつのは見下し目線だろうけど。

見下し性悪説。



『煩くはしないと思いますが、よろしくお願いします』

「へーへー」

『では失礼します』



ペコリと頭を下げ、さっさと自分の家に戻る。



『……やっべぇ…!』



マンガやアニメでしか見たことないキャラと喋った。

しかも記念すべき?相手はあのヒル魔妖一…!!

ポーカーフェイス得意で良かったマジで。



『…普通に銃持ってたし…パネェ…』



銃刀法どこいった、仕事しろ。

ついでに冨樫仕事しろ。


ピロリンっ


スマホが震え、メールの着信を告げる。

開けば自称神様からのメールだった、アイツ、スマホ持ってんのな。

エルシャダイみたい。


やっほー☆

お隣さんにちゃんと挨拶出来たみたいだね!

君にさずけた能力は欲視力☆

泥門には7月頭に転入予定だからよろしく\('ω')/



『………顔文字うぜぇ…』



あと7月頭に転入ってなんだよ。

今日がもう6月終わりそうなんだけど、てか明日から7月なんですけど、どんだけ計画性ないんだよアイツ。



『次会ったら顔面ぶん殴ってやる…』



阿含並に悪ぶって殴りつけてやろう、そうしよう。

じゃないと私の気が晴れない…!



『てかこの欲視力って……まさか……』



この欲視力というのを見たのは初めてではない。

この欲視力は他人の視界でものを見る#\力のはず、しかも作品はめだかボックス

読み方はパラサイトシーイング。

確かにこの能力さえ持っていれば、立ち回りには充分役に立つ……だろうけれども。

相手から見た自分でさえ見えてしまうし、やりがいが消え去る可能性が無きにしも非ずな諸刃の剣レベルの厄介な能力だ。

セナのあのすばしっこい走りを止めるにはうってつけかもしれんが、そもそも私はセナと戦う気は無いし、色んな意味で私の人生台無しにする気かよ…



『………どうしてもって時以外、使うのは止めよう……』



じゃないと色々危なそう…。

初日から…まあよくもやってくれたな自称神様よ。


アイツの言う通り動くのは癪だが、明日から数年ぶりの高校生…果たして上手くやっていけるだろうか…
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