小説

□かたおもい
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大大大好きだと、口に出せたのは嬉しかった。もう冗談でしか言わないつもりだったし。
本気で言えた。
伝わらないとしても……。

宇治原は本当は僕がどんな気持ちでいるのか、わからないと思う。
伝えたくても伝えられない重苦しさがずっと今まで僕を支配してきた。

でも、どんな風に好きかなんてどうでもいいのだと言われたら、確かに、世の中の人全てが、他者への想いを勝手に想像して信じているに過ぎないと気づいた。
勝手に信じていたのに裏切られたと思ってみたり、愛し合っていると信じたり。

だから僕も宇治原と好きの方向性が違おうが、勝手に満ち足りてしまえばいいのだ。
あいつが僕を好きだと言うなら、間違いなく嘘ではないし、僕の好きも、男女のような好き、だけではない。
抱き合いたい夜も、重ねたい唇を持て余す昼も、僕だけの切ない時間だとしても、魂がお互いを求めてやまないのは、同じ想い。

いつも大大大好きだと言い、あとは宇治原がどう受け取るかは、自由だと思おう。
これからも、ずっと。
ただあいつを好きでいる自分を嫌いにならずにいよう。
そんな僕を宇治原が好きでいてくれるのだから……

僕らは両想いだ。

僕は宇治原と笑いあって生きていく。

それだけが望みの恋があってもいいだろう?

end


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