小説
□誰もいない日々
1ページ/12ページ
ひろ、と、呼ばれた男の子
思い出すのは病院の白い壁。
看護師さんたちの笑顔。
退屈な治療。
僕が学んだのは、どうしたら看護師さんたちにかまってもらえるか。笑顔にできるか。看護師さんの人間関係。大人には力関係や好き嫌いがあるということ。
会いに来てくれる家族の温かさ。
でも、必ず、帰ってしまうということ。
2才の僕。
内斜視の手術で、立体視を手に入れた。
せつない日々だったけれど、世の中を渡っていく全てを学んだ。
ずっと君のそばで、
君を見つめて笑うための力を手に入れた。