【短編】
□背が小さくて何が悪い!
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「鈴華さんってちっちゃいですね!」
何 を 言 っ て い る ん だ コ イ ツ は
人が一生懸命バレーの用意などをしている所に会って早々にこんな事を言う人はいるか。いや、いないだろう。
灰羽リエーフ。ただ一人だけだ。
「ねえ…一発殴っていいかな」
「えっ!!?」
「…殴ってもリエーフには効かないと思うけど」
普段は出さない声に驚いたのか殴ると言ったことに驚いたのかどちらかは分からないけど芝山君は慌てふためいていた。が、研磨は安定の冷静さで一刀両断。
「効くかもしれないよ!?」
「只でさえ力ないのにリエーフを殴る力が何処にあるの」
「う"っ」
「確か全然痛くないですよね!」
「リエーフ五月蝿い」
確かに殴る力なんてない。でも、背が低いと言われたのは許せない。これでも私は小学校低学年の時クラスの中で背が高い方だったのだ(女子の中で)だが、高学年になってすぐに女の子の日が早くきた事もあるのだろうか、伸びるのが止まってしまった。そして、次々と追い抜かされ中学校の時には背の順一番前。男子に背が小さい、チビとか冷やかされ続け、背の事に関してとても敏感になった。
「牛乳とか飲んでますか?」
「飲んでたけど伸びない事が分かって飲んでない」
「確か牛乳…カルシウムはとりすぎても意味がないですよね」
「そうだよ。とったから大きくなるわけじゃない」
「え、俺牛乳とかカルシウムとったら大きくなりましたよ!鈴華さんやっぱり全然痛くないです」
「くっ…」
牛乳飲んで大きくなったと聞いて殺意が湧き、とりあえず効かないけどリエーフを一発殴った。何故、私は牛乳飲んでも大きくならなかったのだ。大きくなるために色々と頑張ったのに。
「どうせ私はチビで…小さいですよー」
「別に小さいていいんじゃないですか」
「は、」
いやいや、背の高いリエーフに言われても嫌味にしか聞こえないよ!?というか、なんか近づいてくるし!!!
「だって抱き締めやすい」
なんか暖かい。頭にお腹が当たって…え、私、あの抱き締められてます?
「抱き心地いいですね」
りえーふ…………うん、あのリエーフに。
「夜久さああああああああああああんんん!」
この後、もうスピードで体育館の中に入ってきた夜久さんにリエーフは蹴り倒されるのであった。