【短編】
□I LOVE YOU
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“好き”
どうしても、その一言が言えないんだ。
ある晴れた日のこと。
私は授業をサボり、屋上へきていた。旧暦では『初夏』もう夏だが、夏のような暑さはなく、春の暖かい日差しがさしていた。
そんな天気のいい日に授業をサボり屋上に来たため、ついウトウトしていまい眠ろうとした…
が、眠りを妨げる奴が1人…
「なーにやってんの?」
「ギャッ」
「可愛くない声だなあ」
「可愛くなくて結構!!」
人が眠ろうとしたのに…!!
いつもタイミング悪いな!!
私の肩に手をのせ、ニヤニヤするトサカ頭。
目付きが悪いので不良っぽい感じがするが、不良ではない。
「黒尾!授業サボっちゃだめでしょ!」
「鈴華だってサボってるじゃん」
くっ…
ああ言えば、こう言う…
「…わ、私はまだ成績がいいから大丈夫」
「俺と変わらないぐらいなのに?」
「…ッ」
耳に息がかかってくすぐったい…!!
なんで、こんな事をするのさ!!
こういう事だけは得意だな←
「ねえ…」
「な、なに?」
「昨日、告白されてたよね。ここで」
え、ちょっと待て
「何で知って…」
「だって寝てたんだもん」
「寝てたんだもんじゃないから!!」
マジかよ…
という事は…私の好きな人がバレた。
いや、まだバレていない可能性が…
「鈴華は俺の事が好きなんだよね?」
バ、バレてたあああああ!!!!!!!!
どうしよう!!!!!!!!
黒尾の事、好きだけどこんな形で聞かれてるとは思わなかった…
「お願いがあるんだけどさ」
「な、なに?」
恥ずかし過ぎて心の中で悶絶していた時。
何故か急に真剣な顔をして…
「もう一回、【告白】しろよ」
「は?」
「だから!もう一回【告白】しろって言ってるんだよ!!」
「はああああああ!!!!!!!?」
いやいや…待て待て待て待て
一旦、落ち着こう。
えーっと、もう一度【告白】しろって事だよね。
いやー本当にまさか告白現場が見られているとは思わず、言っちゃったし…うん。しかも、フった男に対して言っちゃった訳だし…
ん?
あ、要するに黒尾は正面から面と向かって【告白】してほしいって事か。
なるほどね…
だったら、ちゃんと言わないとね。いつも素直になれない分。
「好き!」
_Fin