【短編】

□I LOVE YOU
1ページ/1ページ

“好き”











どうしても、その一言が言えないんだ。










ある晴れた日のこと。


私は授業をサボり、屋上へきていた。旧暦では『初夏』もう夏だが、夏のような暑さはなく、春の暖かい日差しがさしていた。

そんな天気のいい日に授業をサボり屋上に来たため、ついウトウトしていまい眠ろうとした…




が、眠りを妨げる奴が1人…




「なーにやってんの?」
「ギャッ」
「可愛くない声だなあ」
「可愛くなくて結構!!」




人が眠ろうとしたのに…!!

いつもタイミング悪いな!!


私の肩に手をのせ、ニヤニヤするトサカ頭。
目付きが悪いので不良っぽい感じがするが、不良ではない。




「黒尾!授業サボっちゃだめでしょ!」
「鈴華だってサボってるじゃん」



くっ…

ああ言えば、こう言う…





「…わ、私はまだ成績がいいから大丈夫」
「俺と変わらないぐらいなのに?」
「…ッ」



耳に息がかかってくすぐったい…!!
なんで、こんな事をするのさ!!

こういう事だけは得意だな←



「ねえ…」
「な、なに?」
「昨日、告白されてたよね。ここで」



え、ちょっと待て



「何で知って…」
「だって寝てたんだもん」
「寝てたんだもんじゃないから!!」



マジかよ…

という事は…私の好きな人がバレた。
いや、まだバレていない可能性が…









「鈴華は俺の事が好きなんだよね?」

バ、バレてたあああああ!!!!!!!!
どうしよう!!!!!!!!
黒尾の事、好きだけどこんな形で聞かれてるとは思わなかった…



「お願いがあるんだけどさ」
「な、なに?」



恥ずかし過ぎて心の中で悶絶していた時。

何故か急に真剣な顔をして…



「もう一回、【告白】しろよ」
「は?」
「だから!もう一回【告白】しろって言ってるんだよ!!」
「はああああああ!!!!!!!?」



いやいや…待て待て待て待て
一旦、落ち着こう。

えーっと、もう一度【告白】しろって事だよね。

いやー本当にまさか告白現場が見られているとは思わず、言っちゃったし…うん。しかも、フった男に対して言っちゃった訳だし…

ん?

あ、要するに黒尾は正面から面と向かって【告白】してほしいって事か。
なるほどね…



だったら、ちゃんと言わないとね。いつも素直になれない分。





 






 






 





「好き!」



_Fin

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ